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#8 前十字靭帯損傷の秘密教えます ③保存治療と適応
こんにちは!理学療法士のKEIです!
はじめに
前回は前十字靭帯損傷における受傷機転について記事にしました。
基本的に手術になるといわれるACL損傷ですが、イレギュラー的に保存療法を選択した場合やその適応についての記事になります。
ぜひ最後までご覧ください。
それではいってみましょう!
損傷後の自然経過
靭帯の損傷形態としては靭帯実質の組織が引き伸ばされ、自然に修復されることは難しい状態となります。
断裂においては断端が徐々に収縮し短くなっていきます。
ACLが自然修復されないのは関節内靭帯である環境特性によるものと考えられています。
前回の記事でも軽く触れましたが膝関節の前方不安定性が残存したままでいると、時間の経過と共に半月板+関節軟骨の損傷割合が高まっていきます。
これらのことからACL損傷が生じると膝関節の不安定性が表れ、合併症を考えると基本的には保存治療は第一選択にはなり得ないことがわかると思います。
年齢
年齢によって保存治療が選択される場合にはどのような条件があるのでしょうか。
40歳以上で不安定性が少なく、low impactスポーツを中心にしレクリエーションレベルまでであれば保存治療も検討する
上記のような報告は出ていますが、40歳以上でも再建術の成績は若い世代の成績と比較しても大差はないようです。
(流石に70歳を超えてくるとACLの単独再建はよっぽどのことがなければ選択されないと思いますが、、、。)
逆に小児のACL損傷はどうでしょうか。
骨端線閉鎖前の小児について再建術を行うと、術後に成長障害や変形が生じる危険性があるといわれています。
骨端線を傷つけない、損傷を最小限にできる手術法もありますが、なかなかにリスクの高い選択になるように思います。
また小児では再建靭帯機能不全や再断裂の発生率が成人と比較し高い傾向にありますので、骨端線閉鎖まで一時的に保存治療を選択する場合もあります。
しかし不安定性から以前のようなスポーツレベルに戻れない症例もあるので、いずれ再建術を受ける必要が出てくると思われます。
小児ACL損傷に対する保存治療は有用とは言えないが、症例ごとに年齢や骨端線開存の有無、活動性などを十分に考慮して治療法を決定する必要がある
保存治療の実際
前述していますが、保存治療にも種類があります。
1.シーズン中などで一時的に保存を選択
2.活動性が高くなく保存を選択
主には上記の2種類になるかと思いますが、この2種類は全くの別物になります。
1については医師の指示のもと、テーピングや装具を併用しスポーツ復帰を進めます。この場合怖いのは再受傷やその他組織の新規損傷ですので注意が必要になります。
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2については表のように進めていくことが多いです。損傷した靭帯が少しでも修復されるように比較的スローペースで進めていきます。
まとめ
今回はACL損傷膝の保存治療について記事にしてみました。
⭐︎ポイント
・保存治療では不安定性が残存しやすい
・不安定性が少なく活動性が低い場合には、保存治療を選択する根拠が限定的に存在している
・半月板や関節軟骨の損傷を予防するために手術治療は有効
もちろん手術治療か保存治療かを決定するのは理学療法士ではなく医師ですが、知っているのと知らないのでは見える世界が別物になると思います。
ぜひ参考にしてみてください。
今回はここまで。
本記事をご覧いただきありがとうございました。
次回もお楽しみに!