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#11 前十字靭帯損傷の秘密教えます ⑥手術-骨付き膝蓋腱

こんにちは!理学療法士のKEIです!

はじめに

前回は手術療法の中でもハムストリングス腱をグラフトとして用いた場合を記事にしました。

今回は骨付き膝蓋腱(BTB)を使用した場合について記事にしてみたいと思います。

ぜひ最後までご覧ください!
それではいってみましょう!


骨付き膝蓋腱の特徴

骨付き膝蓋腱はBTBとも呼ばれ、ハムストリングス腱(HT)とともにACL再建で用いられることの多いグラフトになります。

HTでは移植腱の固定距離が長いことによるbungee cord motionの増大、windshield wiper motionの増大が生じ、骨孔拡大が起きやすいと言われています。

一方BTBではHTのデメリットを小さくしながら、解剖学的二重束再建術を踏襲し“解剖学的長方形骨孔ACL再建術“が行われています。

またBTBは両端に骨がついている状態であり、HTと比較し骨癒合が得られやすいのも大きな特徴の一つです。
腱ー骨、骨ー骨ではどちらが早期に固定されるかは明らかだと思います。


適応

BTBはHTと比較し、手術侵襲が大きいことがデメリットとして挙げられます。
そのためkneeling pain、anterior knee painが生じる可能性を有しています。

ACL損傷全般が適応ではありますが、

1.スポーツ復帰に対して高いモチベーションを持ち、積極的に筋力トレーニング等のトレーニングに取り組む症例
2.競技特性上、ハムストリングスの筋力低下を避けたい症例
3.HTを用いた再建靭帯の断裂により、再再建が必要な症例
4.ハムストリングス腱の低形成の症例

などが良い適応と言われています。


再建術

骨孔作製

骨孔の作製についてはHTの時と同様の方法を用いますが、長方形のグラフトが通るようにそれに合わせて骨孔作製をする必要があります。

移植腱の採取

膝蓋骨下部から脛骨粗面にかけて縦に6cmの皮膚切開を作り腱の採取を行います。

膝蓋骨側は幅10mm、長さ15mm、採取後三角柱に形成します。
脛骨側は幅10mm、長さ15mm、厚さ5mmで採取します。


後療法

HTを用いた時と比較して初期固定がしっかりしているとはいえ、初期対応は愛護的に行うのが基本になります。

屈曲20度前後の装具を装着
翌日より大腿四頭筋の等尺性収縮の訓練を開始
1週で可動域訓練開始
2ー4週で徐々に荷重量を上げていく
3ヶ月でジョギング開始
7−9ヶ月でスポーツ復帰

※半月板、軟骨の損傷で違いはあります。

これはあくまで目安で、各施設・各医師によって差があることを頭に入れておくべきだと思います。
また装具使用期間や可動域訓練の開始時期については、まだ議論が巻き起こっています。
私個人としましては腫れが強く出る手術ですので、2−3週くらいは積極的に進めなくても大丈夫かなと考えています。ただその間の筋萎縮などには十分注意が必要です。


まとめ

今回はACL再建でBTBを使用した場合について簡単にまとめてみました。

★ポイント
HTよりの手術侵襲が大きい
解剖学的長方形骨孔ACL再建法は膝蓋腱単独で解剖学的二重束ACL再建法の概念を実現できる
成績はBTBもHTも大きな差はない

今回はここまで。

本記事をご覧いただきありがとうございました。
次回もお楽しみに!

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