小説を読むのは別の世界からのツッコまれるため
SF小説、野崎まど「タイタン」を読んで、小説を読む理由の一つとして考えられることに気づいた
「タイタン」は数百年後のAIが発達し人類の様々な仕事を代替している世界が舞台
本書の記述で面白い記述がある
舞台となっている世界では高度なマッチングアプリが登場する それは私たちが今使っているマッチングアプリ、表示された相手を自らの判断で選別する作業を含むものと違い、AIによって相手と自分の適合率が示されるのだ
このマッチングアプリを使う主人公は、この方法を恋人を作る「文明的」な方法だという そして、現在の私たちがもつ、生きている中で自分と相性にいい相手と偶然知りえるという価値観を、「古典的恋愛主義」という「非文明的」だと評価する
これは架空の未来からの私たちの現在の世界に対するツッコミである
そしてそれは私たちの思考を刺激する 今の常識、疑っていない価値観に別角度からの評価軸を差し込むことで、より深く客観的に考えることができ、それはより良い価値観を作り出すための重要だ
日本人はよく外国人からのツッコミではっとさせられることがおおい
校則に対する疑いも海外のものとの比較の中で、今の校則ってあんまり意味ないもの多いんじゃね、とか、この校則で悩む生徒が多いならいっそなくすべきなんじゃないかって考えることができたんだと思う
自分たちの世界に閉じこもっているだけでは気づけないことがある だから外の世界からのツッコミは大事だ
しかし、「日本」という世界なら当然海外があるが、現在の私たちの全体の世界には外がない
地球の奴らって変じゃねって言ってくれる別惑星の生命体とかいない
でもそれを、そんな架空のものを人は想像できる
外はないからこそ、架空の外からのツッコミを受けられる
それが小説を読む理由の一つなのではないか