ココ・パーティン・ココについて あるいは泣き虫で頑張り屋な女の子がいかに人の心を掴むのか
絶対にこの子を推すと決めて現場に通い続けてきたアイドルさん、名前がちょっと変わっていてココ・パーティン・ココと言う。ココパテあるいはココちゃん。
事務所メンバーの中でも際立つ歌の上手さ、歌声のイメージとは裏腹に非常に多彩な表情(主に変顔)を持ち、ひょうきんな人柄でモノマネをしたりおどけたりして人を笑わせるのが得意な女の子。口から生まれたようなおしゃべりで一生喋っているしずっと動いている。最初に彼女が喋っているのを見たときは「お笑い系の人(?)なのかな?」と思った。
そんな私が、後に彼女が誰よりもアイドルであることを知り、誰よりも激推しすることになる。
ココ・パーティン・ココは事務所のポジティブシンボルで明るく人を楽しませられるアイドルだけど、私は彼女の言葉や行動に垣間見えるもう一つの面が本当に好きで仕方がない。それは弾ける太陽みたいな笑顔の一方で、言葉の端々に滲み出る等身大の自信のなさ、それでも自分を奮い立たせて頑張れるところが彼女の誰よりもアイドルらしい一面だったりする。逆境に泣きそうな顔で耐えているときに本当に人の心を動かせる子だと思う。
ちょっと想いが大きすぎて上手く書ける自信がないけど、1人でも多くの人に伝わることを願って書く。
「無理だと思った」
以前、無人島から自作のイカダに乗って帰ってきたアイドルグループを応援することになった話を書いたけれど、ココ・パーティン・ココはそのアイドルグループの一員だった。無人島でもサービス精神旺盛で、持ち前の明るさやおしゃべりで配信を盛り上げていた。
無人島最終日、向かい風と荒れる波の中、ちっとも前に進まないイカダを必死に漕いで3時間、ようやくゴールの堤防に着いたとき、彼女が真っ先に「無理だと思った」と1人ボロボロ泣き出して本当に驚いたのを覚えている。それで、この子はそういう子だったんだなあと思った。カメラが回っていたりステージの上に立っていたら、誰かのために泣かずに頑張ることができるけど、心の中には臆病な自分を飼っていて、終わると糸が切れたように泣き出す。アイドルやアーティストに対してパフォーマンスに憧れるとかずっと見ていたいと思ったことはあったけど、誰かを応援したいと思ったのはそのときが初めてだった。
後日、その話をしたら「ええ〜あのときウチめっちゃブスだったのに」と笑っていたけど。
事務所の合宿でもそうだった。事務所では毎年、合宿形式のオーディションがある。1週間24時間生放送で、合宿途中からは一部の現役生も参加する。候補生が主役ではあるけれど、現役生たちも候補生たちを合格に導けるように、自分やグループを知ってもらえるように必死になる。
2021年はココ・パーティン・ココが現役生として選ばれた年だった。合宿では1週間毎朝マラソンがあって、候補生と現役生が走る。折り返し上位のメンバーはなぜか重いペナルティを課され、1位は米を担いで走らされたり、上位者はコーラを飲み切ってから走らされたりする。グループのために、プライドのために、候補生の代わりにペナルティを受けるために、現役生は率先して上位を取りに行く。そんなマラソンで、決して走ることが得意ではないはずのココ・パーティン・ココは毎日笑ってしまうくらいのスタートダッシュをしていた。最初だけでもトップに躍り出て、折り返し地点でペナルティを課されて最終的に最下位になっても、本気で悔しそうに項垂れていた。合宿中、彼女はずっとそんな顔をしながら、それでも泣いている現役生や候補生の背中を押して、やるよ!と鼓舞して、終わった後でどこか泣きそうになっているような子だった。
「どんな状況でも全力で楽しもうと思って」
どうして最初にお笑い系の人だと思ったのかはこの選挙演説を見ればわかってもらえると思う。
https://youtu.be/8I7DlibcaZA?t=256
動画の通り現在は選挙期間中であり、上位7名に入って彼女が青春を捧げたAKB48さんのレジェンド柏木由紀ちゃんとユニットを組むという夢を掴み取るべく頑張っている。
そんな選挙の中間発表当日、彼女が所属するグループのツアーファイナルがあった。アンコールMCは彼女の番だった。全国ツアーを回れることへの感謝を語るなかで、「私はどんな状況でも全力で楽しもうと思ってやっていて…」というフレーズに少し引っかかった。じゃあ、今日は「どんな状況」だったんだろう?
MCで感じた違和感の正体はその夜にわかった。開演30分前、選挙の中間発表が公開されていたのだった。公演が終わって自撮りや次のライブ告知がされる中で、彼女のTwitterでは不自然に中間発表の結果にだけ触れられていなかった。ツイートできない理由はなんとなく分かる気がした。選挙初日の速報では入っていた上位7人に入れていなかった。根が真面目な彼女は、メンバーのことやファンのことを色々考えて、何も言えなくなっているような気がした。その後、なぜか深夜に事務所の社長にカラオケに連れて行かれた様子で、ようやくこんなツイートをした。
ココ・パーティン・ココは逆境に弱い、と思う。一度良い波に乗ってしまえば持ち前のスター性で一気に場の空気を持っていってしまうのに、勢いを失うとめちゃくちゃ落ちてしまう。選挙演説のようにガツガツ前に出てくるので、一見自信家に見えるけど、実は全く正反対だったりする。AKBさんが好きなのも本当だし、選ばれたいのも本当だし、でもどうやってアピールしたらいいのか、弱気になってしまいそうになる。それをこっそりFC限定のブログで吐露したりする。表ではあんなにふざけて見せるのに真面目で不器用。私は無人島や合宿での、悔しそうに口を引き結んで泣くまいとしている彼女の横顔を思い出してしまう。
自信を持って胸を張って自分のことを表現できるアイドルさんも素敵だけど、私は彼女のこういう不安や迷いの中でも全力で頑張る姿にとても勇気をもらえるし、どこか感情移入して見てしまうところがあって、本当に夢を掴んで欲しいと思っている。それは今回のユニットに選ばれることもそうだけど、大きな舞台に立ちたいとか、スターになりたいとか、欲深いことは言わないとする彼女からたまにぽろっとこぼれる本音。そんな子がいることを知って欲しいと思ってこれを書いている。
ココ・パーティン・ココは本当に素敵なアイドルで、ここに書いたことは私を通して見た彼女の魅力のほんの一部でしかないから、もし気になったら直接会いに行ってくれると嬉しい。きっと彼女なりの精一杯の、太陽みたいな笑顔で迎えてくれるはずだから。
追記
記事としてはここで終わりにするつもりだったのだけど、そんな彼女が悩みながら勇気を出して撮ったであろう、選挙にかける思いを公開していたので載せておく。
ココちゃん、頑張ってね。