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イワシ

割引あり

 芸名がいわしって何?と聞かれることが多い。何と言われても高校時代の相方のあだ名がにぼしで、ハイスクール漫才にエントリーするときにコンビ名が思いつかなかったからいわしでいいかくらいの自堕落な決め方だから、説明する前に謝罪から始まる。今年芸歴が12年目になる今、もう少し考えればよかった以外の考えは脳裏に浮かばない。どれだけかっこいいOPVを作ってくれても、「にぼし」「いわし」のひらがなの中でも群を抜いてマヌケな見た目の文字がスマートさを食い荒らす。せめてもの反抗でローマ字表記にしても、引退後の野球部の精一杯のオシャレ、伸びモヒカンくらいにしかならない。そしてカタカナが一番ダサい。イワシ。

 そもそもいわして。とは思っている。みんな親しみを込めて「いわし」「いわしちゃん」「いわちゃん」「いわしさん」と呼んでくれている。人命を魚名で呼ぶ恥ずかしさを強制的に乗り越えさせていると罪悪感すら覚える。
 そして何より私は、「鰯」のことを何も知らない。せめて「鰯」を好きであればいいが、寿司ネタなら「雲丹」とか「貝柱」とか「サーモン」とかの方が好きで鰯はあれば食べるくらい。鰯の豆知識も特に知らない。鰯あるあるくらい持っていれば場を盛り上げられるかもしれないが、漁港と寿司屋限定で、ナルゲキで出来る気がしない。

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