重いハリボテは剥がれない

　無印良品で買い物をしていると、「すみません、ホホバオイルってどこですか？」と聞かれた。馴染みの無印良品なもんでホホバオイルの場所を熟知しており「こちらです」と案内したかったのだが、この私、極度の心配性ゆえ、店員になり切って案内するとなんらかの罪に問われる可能性が頭によぎってしまった。その結果、正直に「あの、その、店員、ちゃうんですけど、ホホバオイルは、」と言いながら、しかしながら責任を持って、もちろん最短ルートでご案内した。その方は何一つ気持ち悪がらず「ありがとうございます」と笑顔でホホバオイルを選び出した。存分にしっとりしてほしい。

　奇跡的に一瞬無印良品の店員になった私であるが、一般のお客さんが間違えるほど無印良品の店員さんだったには驚いた。リュックサックを背負っていたのに。無印大好き人間なので好きなものに囲まれてそういう顔、そういうオーラを放っていたのかもしれない。「無印良品の店員」のように、すんなりと「私はかなり面白い芸人なんですよ」にもなれたらいいよなと思う。