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【読了】患者の前で医者が考えていること

先日から読みたいと思っていた本を、ようやく購入し、早速読み終わりました。

私、10年ほど医療事務として働いており、総合病院を2箇所、調剤薬局を1社経験しています。
さらに言えば父は検査薬のMR、兄は処方薬のMRとして薬に関わっています。

そんなちょこっと医療現場に詳しいタイプの人間なので、医療については興味も人一倍という感じです。
特に総合病院にいた時は、患者さんと医者や看護師をつなぐ役目をしていたので、この本に興味津々でした。

いやぁ面白かったですね。
医療関係の仕事をしているとはいえ、親族や友人に医者はおりません。
医者が何を考えているかなんて、ぜーんぜんわからないなぁと思っていました。

現場によっては医者はワンマンな上司のようなポジションです。
良い人もいれば悪い人もいるなという印象で、それはどんな人でも一緒かと思います。

ただ、ひとつ医者の特徴を言うなら、だいたいみんな忙しそうということですね。
忙しそうだからこそ、感じが悪い。
感じが悪い医者以外は、やたらと絡んできて面倒臭い。
医療事務から見た医者は、正直こんな印象です。

さて、お医者さん自身は何を考えてるのかなとこの本を読んでみると、まあ事務のことなんて眼中にないですね。
知ってました。
患者さんのことか、視界に入っても看護師さんのようですね。
ええ、ええ、いいんです。
気にしていません笑。

それにしても、手術を前にして考えていることや、ご臨終を伝える時の思考など、到底医者に聞くことができない内心が書かれていて面白かったです。
そして医者自身が考える"良い医者"の定義も興味深いですね。
これにはある程度納得できる回答だなと思いました。

読んでいてとても面白い本だったのですが、一点辛いことがありました。
それは執筆しているお医者さんの専門が小児外科ということです。
現在は開業医をされているということですが、過去に大学病院に勤務していたときのエピソードは読んでいて辛いものもありました。
がんのお子さんの話など、現在2歳の子どもを育てている身には、なかなか悲しく感じるエピソードがありました。

小児がんの悲しいお話に触れることに抵抗がなければ、お医者さんの内心を知ることができる、面白い本だと思いました。

あと一つ、個人的に著者と意見が合わないなと思ったのは、医者が算盤をはじくことを良しとするかです。
著者は医療と向き合うことが医者の仕事だと感じており、お金の勘定は重要視していないようです。
でも私は医者もぜひお金の勘定をしてほしいと思っています。

患者さんが病院と薬局でどれくらいお金を払っているのか、もしくは払っていないのかを知ってもらいたいと思います。
糖尿病の患者さんで、お金がないから来月の診察には来られないかもと話していた人がいました。
反対に子どもの医療費は無料なので、子どもの分として自分が使いたい保湿剤をMAX量処方してもらうお母さんがいたりします。

あと医療事務の主観で言えば、儲かっている開業医はもっと事務にもお給料として還元していただきたいので、もっと収入と人件費のバランスを知ってもらえたらな……なんて。
医療事務って誰でもできる仕事ではあるけど、病院によってはめちゃくちゃストレスがかかる仕事でもあると思うんですよね。
(今の私の職場はそこまでのストレスではないですが。)

医療事務の目線からしたら、医者もしっかり金勘定してくれた方が、患者さんのQOLを支えることにもなるので、良いと思うのですがね。
まぁこんな感想を抱きつつ、全体的には楽しくこの本を読み切ることができました。
医者が考えていることに興味がある方には間違いなくおすすめの一冊だと思いました。

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