【読了】そして、バトンは渡された
2019年には本屋大賞を受賞。
2021年には映画化もされています。
そして110万部以上の売り上げも記録している小説。
『そして、バトンは渡された』です。
この話題作がKindle Unlimitedに入っていたので読んでみました。
作者の瀬尾まいこさんと言えば2002年に『卵の緒』でデビューされています。
私が学生時代、書店でバイトしていた時には『卵の緒』がとても話題作だったような印象があります。
デビュー作でそこまで有名になる作家さんも珍しいというか、当時は目につきすぎて、それがデビュー作だとは思ってもいませんでした。
中学校の先生をしていたそうで、『そして、バトンは渡された』を読んでも、主人公である女子高生と、その担任の先生との関係は印象的です。
一般的には思春期と言われる年代ですが、それでも不必要に関わってくることのない、担任の先生は魅力的です。
生徒とはドライな関係なのかと思いきや、卒業式の日には、クラスの生徒全員に手紙を送るという、なかなかアツいことをしてくださる。
おっと、感想の序盤からすでに物語のディテールを語ってしまいました。
メインのストーリーは、血のつながらない親の元で暮らしている女の子の話です。
5人目の親の元で暮らしているわけですが、決して不幸なわけではありません。
どの親にも大きな愛を持って育ててもらっています。
高校生時代をメインに描きつつ、なぜ5人目の親の元で暮らすようになったのかを振り返りながら物語が進んでいきます。
なぜ5人も親がいるのか。
そしてなぜそんな不安定な人生でも幸せに生きていられるのか。
それはたくさんの大人から目一杯の親愛を受けて育ったからなんですよね。
確かに親が変わったり、住む場所が変わったり。
どの親との生活を続けるのかなど、幼いながらも選ぶ必要がありました。
それでも全ての親から愛情いっぱいに育てられたのです。
そんな、普通ではない家族関係で、普通よりもたくさんの愛情を受けながら育った女の子のお話です。
読む前は、血のつながらない親と生活している話だと知り、辛い話なのかなと想像していました。
でも読後は正反対の、愛情いっぱいの物語だったなという感想です。
ちょっと不思議な、でも愛の溢れるお話です。
幸せな話が読みたい時に、ほっこり幸せに浸ることができる一冊でした。