表紙で振り返る新潟美少女図鑑の20年
2022年11月30日に満20歳を迎えたフリーペーパー『新潟美少女図鑑』。その歴史を表紙写真で振り返ってみました。
いきなり、何の前触れもなく、生まれたわけではなく、前段として、新潟の中心市街地、特に古町エリアを中心に無料配布してた『SODA』というフリーペーパーの連載コーナーとしてスタート。
黎明期は『SODA(ソーダ)』。
当時は、タイトルに「新潟」が付いていない、ただの『美少女図鑑』という名前でした。コーナー紹介文に「一冊の写真集を発行することが目標の〜」といった文言がある。
読者からは、予想以上に好評を得たことに気を良くして「本当に出せそうだ」と考えて、スポンサーを探してみたが、とにかく大苦戦。広告メディアとしては「美少女図鑑」という名前が悪すぎた。発想を転換して「広告メディア」ではなく「街の写真集」に。
その延長線上に、今も続く編集方針が生まれ、それが、そのまま営業文句となっていく。つまり「ターゲットは、若い女性だけ」と「広告色は、ゼロにします」。それに強い興味を示してくれたのは、今も強固なパートナー関係を築いている「美容室」「専門学校」「ファッションビル」。
一緒に、限られた時間と予算の中で「自分たちの好きなものを作ろう!」と創刊。そのタイミングで「新潟から全国へ」という意志を込めて、タイトルの頭に「新潟」が付け加えられた。
手探りの中、創刊。
創刊から、およそ一年間は、トライ&エラーが続き、発行日も11月、4月、7月というように不定期で不確定。発行タイミングは、その後も何度か変更されたが、現在は、3月/6月/9月/12月の年4回の定期発行となっている。
サイズや仕様も手探りは続く。
発行元のテクスファームは、企画・デザイン会社であり、共同製作者であるカメラマンやデザイナー、ヘアメイクほか、多くのクリエイターたちが運営を共有するメディアいう特性上、常に刺激を求め、そして、正解を探し続けている。
サイズは、創刊時からA5サイズで定着。ただ、過去に2回だけ、現行のサイズ(A5サイズ)とは異なるサイズで発行したこともあるが不人気のため、定着に至らなかった。
サイズが変わっただけで、慣れ親しんだ『新潟美少女図鑑』だと気付かれず、手に取る人も減ったこともあり、それ以降は、現在でも、お馴染みの仕様に定着。
全国展開が軌道に乗りつつあった2009年頃からデザイン性が加速していく。街のストリートスナップから、演出の入った撮影と画像加工などを駆使したデザイン性の高いメディアになっていく。
新潟のみならず、美少女図鑑が全国展開した2010年、2011年。マスコミに取り上げられる機会が増えると共にクライアントも増えた。ページ数も100頁に迫るボリュームに。表紙は「シルバー」や「ゴールド」の特別紙を使っている。
この頃から、のちに女優やタレントとなる人気モデルたちが出演し始める。その代表例が、馬場ふみか、山田愛奈、栗林藍希など。
タレントの登竜門?
馬場ふみかが新潟美少女図鑑時代の撮影について、インタビューでも答えている。(参照_写真嫌いだった馬場ふみかを変えた『新潟美少女図鑑』/朝日新聞デジタル)
https://www.asahi.com/and/article/20190506/1986592/
今は、女優として活躍する山田愛奈は、初登場で表紙に抜擢。この写真はSNS上でも大いに話題になり、翌年のオーディション(ミスiD2015)を皮切りに、ViVi専属モデル、non-no専属モデルなどに続く足がかりとなった。
話題性も、デザイン性も頂点にあった2015年。この一冊には、今は女優として活躍している栗林藍希、青文字系ファッション誌『mer』の全国オーディションでグランプリになった愛万多、NGT48でデビューを果たした加藤美南などが出演している。
ときを同じくして、全国区のタレント・女優として、二階堂ふみ、山本舞香らが映画やドラマの主演として登場し、美少女図鑑も、タレントの登竜門として、メディアでも取り上げられることが多かった。
しかし、その発祥地である「新潟美少女図鑑」は、その呼び名を嫌った。一般的に抱かれるイメージから離れるべく、デザイン性は鋭角化していった。創刊から10年を超え、クリエイティブチームも円熟期を迎えた時期も相まって「話題性」と「デザイン性」が高い水準で合致。誌面への出演を熱望する中高生の応募が相次いだ。
そして、現在。
ポップで、フレッシュな果物を表紙にした表紙。中心市街でしか配布していない新潟美少女図鑑。発行タイミングの週末に、多くの女性たちが、このカラフルな冊子を手に持って歩く姿をイメージしてデザイン。「街の気分をデザインする」をコンセプトに掲げて発行。
街に出ることさえも憚られるコロナ禍にあって「街に出よう」と謳うフリーペーパーの存在意義を自問自答し続けて作った一冊。誰もいない街の写真や、あえて、マスクを着用したモデルたちの写真などを掲載。
といった感じで、表紙を通して駆け足で20年を振り返りました。この先の20年はどうなるのでしょうか。
番外編
長いこと続けていると色んなことが起こります。「美術館での写真展」「全国縦断でのスナップイベント」「B級グルメの限定パッケージ」など、思い返せば、いろんなコラボ企画がありました。
これらについては、また別の機会でご紹介さえてもらいます。