国会議員が寝る理由
これは何処かで見た話を、詳細に噛み砕いて説明する話だ。
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先ず前提として、『国家』の定義は『人間が生活を送る上で必要な環境を用意するために、統率能力や権力を定義して構築したシステム』となる訳だが、そう考えると『企業』もそれに含まれる。
というのも『企業』は現代資本主義社会に於いて生活を送る上で必要な『資金』を用意する為に、統率能力や権力を定義して構築されたシステムだ。確かに用意するモノは国家よりも限定的にはなるが、企業或いは国家への所属無しに現代社会を生活する事はほぼ不可能である以上、企業が『国家』と同義の立場にあることは疑うべくも無い訳だ。つまり、企業と国家は立場として『競争関係』になり得る。
それを踏まえた上で、本題の結論を先に述べよう。
国会議員の年収は低すぎるのではないだろうか。
これもまた前提になるのだが、国家の経営は企業のそれよりも難しい。
それは何故かと言えば、企業は構成人員に加える人間を選別するからだ。
自らの組織の利益に繋がる人材だけを選別して所属させるから、出生=所属となる国家と違って、『利益にならない可能性の有る人間』に対する対策を取る必要が無い。『多様性のある国家』は『指向性のある企業』よりも様々な問題の解決に追われ、それ故に運営の難易度は跳ね上がる。
つまり、それに見合った能力を持つ人材が必要になる。
1億人規模の『国家』を運営するには、1億人規模の『企業』を運営する以上の能力を持った人材を運営機構に載せる必要がある訳だ。
しかし現代社会に於いて、『企業』の価値は時として国家を超える。特にGAFAと呼ばれる世界のリード企業の年次予算は、最早世界の大半の国家の国家予算でさえも太刀打ちできない額面になっている。それはつまりどういうことかといえば、運営する人間にもそれ相応の価値の報酬があるという事だ。
例えばgoogleの"CEO"であるサンダー・ピチャイであれば、その年収は200万ドル。2022年12月9日現在の為替レートで言えば、日本円にして272億6300万円だ。勿論彼は資産運用によって利益を得ているから、年間の所得総額にするとそれだけでは収まらない。
ではここで岸田総理の所得を見てみよう。
googleで『岸田総理 年収』と検索すると……おやおや。
2837万円。
これはおかしな話だ。
『google』の構成人数は5万人強。トップの報酬は272億6300万円。
『日本』の構成人数は1億6000万人。トップの報酬は2837万円。
たった2837万円だ。
単純計算で見ても割に合わないのは明らかなのだが、それに加えて『日本』は『google』と違って多様性に満ち溢れている。犯罪者、精神異常者、病人、その他諸々……『google』であればリストラすれば済むモノを、日本では民意に従って救済しなければいけない。
仮にあなたが、googleを運営できるほどの能力を持った人材だとする。
これを聞いて尚、貴方は総理大臣を目指すだろうか。
「んな訳ないだろ『google』やるわ馬鹿がよ――」
はい、その通りだ。
有能な人材は、そもそも「総理大臣になろう」と考えない。
現実的な視点を持った人間であれば、同じ苦労をするのであればより高い利益を得られる『企業』の構築を目指すだろう。
つまり、たった2000万円では、国会議員にマトモな人間は集まらない。
だがまあ、国会にも優秀な人間は居る。ちゃんと問題を問題視して、自らそれを提起する議員も、数少ないながら存在する。では彼らは何なのかといえば――それは勿論『やりがい搾取』だ。
権力を運用して、民衆を救済することに快感を覚える人間だから国会議員をしている。彼らは自らの人間性とやりがいでもって、『2000万円以上の仕事』を『2000万円』でしてくれているのだ。
当然の話だが、大半の国会議員は『2000万円に見合った程度の仕事』しか出来ない。
しかし、なんと民主主義は『多数決』で運営されているのである。
故に結論に戻る。
国会議員の年収2000万は、確かに我々の血税から拠出された『我々のお金』である。だが我々は、国家という巨大な組織の運営を『国会』ひいては『政府』に委託している身だ。
超巨大組織の運営には高い能力を持った人材が必要不可欠である。
それを思えば「2000万円も貰っている! 寝ているだけで!!」と騒ぐのはお門違いでは無いだろうか。
『たった2000万円』しか報酬を払わないから、有能な人間が国会議員を目指さないというだけの話だ。
『国会で寝ない有能な人間』を『多数派』にするには、それに見合った報酬が必要なのではないだろうか。
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以上。私による「私がどこかで見た話」の解釈と解説である。
私はこの話に納得しか出来なかったのだが、皆様はどうお考えだろうか。
是非コメントで聞かせて欲しい。
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