33年後に彼氏ができる少女
昭和の終わりに近い初夏に私は生まれた。
3人姉妹の末っ子で上の姉とは9歳と11歳離れていた。
私が生まれた時の家族の第一声は「また女かぁ」だったそうだ。
父は母の出産後、病院にすぐ駆けつけるでもなく、一体どういうつもりかは不明だが近所の人には「男が生まれた」と触れ回っていたという。
父はその時41歳だった。
そんな父だったが年の離れた娘の私を自身の年齢も相まって孫のようにかわいがってくれた。
欲しいものはいつも父が買ってくれたし、だいたいのことは泣けばどうにかなっていた。
毎晩晩酌をしていた父は月に1.2度お酒を買いに「よしのや」に行く。
そこでお菓子を買ってもらうのが大好きだった。
大人になった今は姉たちにはお前は甘やかされていたと常々言われている。
それは自分でもわかっているし、仕事、結婚、出産を経た今でも当時のわがまま気質は持ち合わせていると思っている。
でもさすがにそれを他人にぶつけるほど非常識な人間にはなっていないとは思っているけどどうかな…。
母が先日こんなことを言っていた。
「私は子供だけを連れて遊びに行ったことなんてない。だいたい子守りはお父さんがしてくれていた」と。
確かに思い返すと、小学校の低学年くらいまでは父にベッタリでいつも遊んでもらっていた。
子供の頃の母のイメージはいつも怒っている。
そんなこともあって子供の頃の私は優しい父が大好きだった。
もちろんこの頃は私がこれから33年も男性とお付き合いをすることがないなんて誰も知るよしもないのだが。