8. 死兆星が見える3月を乗り越えて
ハロー3月!
近所の公園では梅が思いっきり咲いてたけど、早すぎやしないかしら。
今日はなかなか良いことがあった。うふふ♡な感じだ。
カレンダーに「良いことがあった日」のマークを書き込もうと思ったら、今日から3月が始まるんだなーと思い、それと同時に毎年3月は辛すぎたなーということを思い出した。
わたしは昨年まで人材派遣会社でコーディネーターとして働いていた。
コーディネーターとは、仕事を探している人へマッチした仕事を紹介する仕事(ややこしい)だ。
一番わかりやすいのは、ハローワーク相談員の民間バージョンだと言えば良いだろうか。
派遣業界は、年明けの1月〜3月が繁忙期(=最も仕事がある時期とも言える)で、この時期はもう・・・マジで死兆星が見えた(注:北斗の拳より/死兆星が見えると年内に死が訪れると言われている)。
この繁忙期になると、退社する時間帯(22時くらい)には「いってきま〜す!」という声があちこちから聞こえた。
もちろんその時間帯に営業に行くのでは無い。自宅へ寝るためだけに帰る=いってきま〜す、だ。社歴が長くなったメンバーは皆、翌朝出社して「(いつものわたしのデスクに)ただいま〜」と言うのも欠かさなかった。
1日の業務は、だいたい1〜2名の新規派遣スタッフの面談をして、その方の希望条件を聞いたり、将来どのように働いていこうかみたいなことを一緒に考え、スタッフの情報をシステムへ入力する。
その合間に選考を進めるスタッフの経歴書を作り、クライアントへ提出して職場見学の日程を調整する。
その隙間を縫って、サイトに載せる求人情報を作ったり、最低でも30件くらい派遣スタッフへ電話を掛けて仕事の紹介をする。
さらにその隙間を縫って、もう辞めたいです!ていうスタッフの相談に乗ったり、無断欠勤したスタッフの代わりにクライアントへ謝ったりもするし、社内ミーティングもするし、新人へ仕事も教えるし、チームのメンバーが死んでないか生存確認をして、死にそうだったらチョコあげたり、手伝ったり・・・
朝昼晩、同じデスクでコンビニのおにぎりやパンを食べる…まだ他にもあるけど、書いてて悲しくなった。絶対に1日8時間で終わらないボリュームだった。
これが繁忙期の間、3ヶ月続くのだ。最終月である3月は、もうボロ雑巾でしかない。
こんな調子だから夜遅くに家に帰っても、もう言葉を発する力が残っていない。3月は著しく家庭内での会話が減り、わたしの心がボキボキ折れて、もう無理、絶対無理!を連呼しながら夫に泣きつく月でもあった。
でも。じゃあ、仕事が嫌だったかというとそうでもない。わたしにとっては間違いなく天職だったはず。
今まで色んな仕事を経験してきたけれど、仕事をしていて頭の中でアドレナリンが大放出するような感覚があったのはコーディネーターの仕事だけだった。
麻薬みたいに聞こえるかもしれないけど、すごいキツイことが90%でも、残りの10%でアドレナリンが出れば、それすなわち喜び、全てチャラに出来た。
だからこそ、このアドレナリンのおかげで死兆星が見える3月を何度も何度も乗り越えてきたのだ。
今の専業主婦の生活は、何も急かされることがなく平和でとても穏やか。この生活も結構気に入ってはいるけれど、でも、あのアドレナリンはまた感じたいなと思う(中毒性)。
やりがいって目に見えるものではないけれど、たぶんわたしにとってはあのアドレナリンがやりがいだったのかな。
3月はわたしの誕生月。来週誕生日を迎える。
今年は死兆星を見ることなく、40歳を迎えられそうだ。