NIリサーチャーコラム #33 チャットインタビュー時代から『すぐ聞けるオンラインインタビュー』へ~この時代だからできること~(2023年7月執筆)
執筆者: リサーチ・ディレクション部 グループリーダー T.M
※NIリサーチャーコラムでは、当社の各リサーチャーが日々の業務等で感じた事を自由に紹介しています。
1)チャットよりもやっぱり対話
今年(2023年)5月新型コロナウィルス感染症が5類へ移行しましたが皆さんの生活は何か変化ありましたか。
私自身は、オフィスに出社する機会が格段に増えました。
会社としてはオフィス勤務と在宅勤務のハイブリッド型の勤務体系であることに変わりはありませんが、私自身は特に打ち合わせなどがない時でも週に3~4日くらい出社しています。
そこで思うのが、ちょっとしたことでも話す機会が増えたな~ということ。
今まではマスクの影響もあるかもしれませんが、口数が少なかったのですが今は違います。
他の社員も同じように感じます。オフィスの一角で笑い声が聞こえると、相乗効果で別の一角でも雑談や笑い声が聞こえるようになりました。
話しやすい雰囲気が漂っています。
今まで話す機会がなかった人と話すと、この人ってこういう人だったんだ、●●が好きなんだといった新しい発見もあって、話すのがとても楽しいです。
こういった思いもありオフィス勤務が増えたかもしれません。
リモート勤務時もチャットなどでの気軽なコミュニケーションを心掛けていましたがやっぱり顔を見て話すと話の広がりがあって、得られる情報量が違うなぁ~とつくづく感じます。
そこで今回は、調査業界でもいつからか、『すぐ聞けるチャットインタビュー』という手法が浸透してきたこの時代にすぐ聞けるメリットはそのままに「チャットではなく、顔を見て話してみたらどうでしょうか。」というツールをご紹介します。
その名も「FAST ODI」です。
2)FAST ODI とは
まずはFAST ODIの特長としては、その名の通り、【FAST=早く】【ODI=オンラインデプスインタビュー】が出来るツールです。
もう少し詳しくお話しすると、
<1>短期間で実施可能
→従来のオンラインデプスインタビューは企画設計~リクルート~実査まで3~4週間かかるのが一般的ですがFAST ODIはリクルート開始から最短3日後から実施可能です。
<2>圧倒的な低コスト
→従来のオンラインデプスインタビュー(司会者・書記手配あり)は1名あたり6~10万円程度かかりますがFAST ODIは1名あたり2万円~可能です。
<3>私たちとの煩雑なやり取りを最小限にしたシステム
→従来のオンラインデプスインタビューは企画設計・リクルート・フロー作成・実査などの実施前のやり取りの機会が多くなりがちです。
しかしFAST ODIはクライアント様ご自身にお任せする工程を多くすることで私たちとのやり取りを最小限にしました。
これだけだと、「従来のオンラインデプスインタビューをFAST ODIに切り替えた方がいいのでは?」とお考えになるかもしれませんが、少しだけ注意点があります。
1.当社社員が関わる部分は「リクルート画面作成とリクルート画面配信」のみとなりますので、その他の工程(企画設計、リクルート票の作成、
リストのダウンロード※1、WEB会議の設定、インタビュー対応、書記手配、対象者から欠席の連絡・遅刻の連絡受け)はクライアント様ご自身での対応です
※1:リストのダウンロード=個人情報の含まれないもの
2.録画は個人情報の観点から禁止
3.インタビュー対象者は条件合致者が発生した順に自動的に確定(条件を見ながら選ぶことはできません)
4.万が一条件に合わない方が発生した場合でも費用の減額はなし
5.このシステムを利用してグループインタビュー形式は不可
上記の通り、クライアント様ご自身の作業も多数発生しますので調査のご予算や目的、対象者条件などに応じて従来のオンラインインタビューとの使い分けがおススメです。
3)実際に使うとしたら、どんな時か
では、どういった目的・ニーズのあるお客様におススメするか、当社がFAST ODIのご利用をおススメしたケースの一部は以下の通りです。
A) クライアント様ご自身がデプスインタビューをされるケース
B) 急ぎのコンセプト受容性確認など、準備時間が十分に取れないケース
C) 予算確保が厳しい調査目的・課題が発生するケース
実際のクライアント様の事例と共にA)~C)をご説明します。
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A)クライアント様ご自身がデプスインタビューをされるケース
これが実は一番FAST ODIをおススメしたいケースです。
実際とある食品メーカー様では「低コストで、すぐに結果が出るところが良い」とご活用いただきました。
目的:自社商品のユーザーの話を聞く
設計:インタビュー時間30分×10サンプル
欠席:なし
費用:約32万(税抜き)
<実施後のご感想(抜粋)>
設計してから数日後にインタビューが出来たので満足。欠席も出なくて良かった。
また新人向けのデプスインタビューの練習にも使えそう。
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B)急ぎのコンセプト受容性確認など、準備時間が十分に取れないケース
とある日用品メーカー様から以下のようなお問合せがありました。
「先日のFGIを受けてコンセプトを修正したが、このまま進めるには不安がある。」
ただ、「1週間後には結果が知りたい」と。
従来のオンラインインタビューでは到底ご提案できないスケジュールですが、FAST ODIをご提案し、無事に実施できました。
目的:修正したコンセプトについて、自社ユーザー・競合ユーザーの意見を聞く
設計:インタビュー時間60分×10サンプル
欠席:なし
費用:約35万(税抜き)
<実施後のご感想(抜粋)>
こちらの要望のスケジュールで結果を得られたのがとてもよかった。
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C)予算確保が厳しい調査目的・課題が発生するケース
とある飲料メーカー様からは「事前に調査予算を取得していないので費用をかけられないが、セルフのインターネット調査だと浅くしか知ることができない」「予算はかけられないがもっと深く知りたい」というご相談をいただきました。
そこで、今回はFAST ODIをおススメしました。
目的:自社商品の現使用者・中止者に話を聞き自社商品の理解を深める
設計:インタビュー時間30分×12サンプル
欠席:1名あり
費用:約32万(税抜き)
<実施後のご感想(抜粋)>
商品理解が深まった。
インターネット調査は表面的なことを理解にするには良いが、その分深く理解することができない。
また、回答結果から疑問に思ったことがあっても「なぜ?」をその場で確認することができないがインタビューはその場で質問が出来て臨機応変に聞くことが出来てとてもよかった。
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など、様々なケースで「早さ」「費用」「インタビューならではのメリット」を感じて頂いております。
※欠席は一定数発生する可能性があります。上記はあくまでも一例とお考え下さい。
ただ、ここまでお読みになって「これってチャットインタビューでも同様のメリットあるんじゃないの」と思われた方もいると思います。
そこで次の項では「チャットインタビューとの比較」についてお話しします。
4)チャットインタビューって気軽?
チャットインタビューとは、1~2問の質問を投げかけて条件合致者であることを確認した後、その場ですぐにチャットで会話をすることができるシステムです。
費用も低コストの場合が多く「すぐに」「安く」「インタビュー」が出来るという特長はFAST ODIととても似ていると思います。(FAST ODIは後日インタビューですが)
チャットで実施なので対象者はとても気軽に参加が出来、かつリラックスした状態で意見を伝えることができるとも言われておりとても良いシステム・手法だと思います。
でも、皆さんもお仕事でチャットを使って以下のような出来事ありませんか。
・チャットでやり取りしていたけど、言葉に出来ないニュアンスを伝えたかったのでテレビ電話に切り替えてしまった
・チャットで長文を書きたくないので、短文にまとめてしまった
・すぐ返信しないといけないという気持ちになり深く考える間もなく返信してしまった
・文章を短くまとめるために、最初に思いついた言葉と違う言葉(類義語)を使ったり、少しニュアンスを変えて返信した。
・感嘆(「へぇー」や「なるほど」とか)の言葉は文章化しないことが多い
・表情が見えないので、本音はどう思っているかより分かりづらい
・キーボードで文章を打つのは話すよりも時間がかかってしまう
どうですか?思いつくままに書いてみましたが、1つは思い当たることあるのではないでしょうか。
やはり直接話した方が伝えられる量も多く、些細なことでも言葉にしやすいメリットがありその点はFAST ODIの方が良い点なのではないかと思います。
また、チャットインタビューは履歴が残ってしまうので機密情報の画像などの呈示はお薦めできません。
しかし、FAST ODIではカメラの前に実物を呈示することや共有画面を通して画像を見てもらうことも躊躇なくできますし、見せた時の対象者の反応を画面上で見ることも可能です。
このようにチャットインタビューは、通常のインタビューに比べ参加のハードルも低くとても気軽である一方で、意見を長文で伝えたい時は入力に時間がかかり、入力負荷も高いため言葉を端折ってしまうことも多く、むしろ“気軽に意見を言えない“とも考える対象者もいるのかもしれません。
とはいえ、チャットインタビューが向いているテーマや調査目的もありますのでそれぞれのサービスの特長を理解した上で使い分けをしていくことが大事だと感じております。
5)最後に
最後に、FAST ODIに付帯したオプション【N1(エヌワン)分析サポートパック】をご紹介します。
<N1分析とは>
顧客を購買頻度とブランド選好度によって、”9つのセグメント(※1)”に分類。
各層に該当する”1人の顧客(N=1)”を徹底的に分析することで、
ターゲットの心を惹きつける商品・サービスの魅力や訴求の”アイデア”の発掘を行います。
※1:9つのセグメント(9セグマップ)とは
顧客を「認知・購入経験・購買頻度・次回購買意向」で9つのセグメントに分類することで、
“販売促進”と”ブランディング”の変化を同列で可視化できるフレームワークです。
N1分析サポートパックなら
【9セグマップ判定ツール】と【FAST ODI】システムによって、
N1分析のためのオンラインインタビューをスピーディかつローコスト で実施可能です。
N1分析を行うためのオンラインインタビューを実施したいけれど「対象者をどのようにリクルートしたらよいのか分からない」時や「通常の方法では対象者のリクルートからインタビューまでの期間が長いため希望日までに間に合わない」といったお悩みをお持ちの方は、お気軽に当社営業担当までご連絡ください。
当社のリサーチャー視点で発表したN1分析についてのコラムもございます。ご興味のある方はこちらも合わせてご覧ください。
「春は出会いの季節 ~ ”1”から始めるマーケティング ~」
執筆者プロフィール
リサーチ・ディレクション部 グループリーダー T.M
大学では数学を学び、卒業後はアパレル業界で接客の仕事に従事。
27歳で日本インフォメーションに入社。今年で12年目。
フィールドワーク部を半年経験した後、営業部門に配属され数年前グループリーダーになり、今に至る。
休日は2人の子どもと過ごし、家族サービスに励む。