親の「不便」を収納で補う。
これは、生家の片付けではなく現在家族で住んでいる自宅で実践、導入している事の一つなのだが、同じ悩みを持つ多くの高齢の方にも当てはまる事だと思う。
人間歳を取れば、若いころのような活力や一般的に言われる身体能力全盛期の事とは勝手が違い、出来ることが出来なくなってしまったする。それは老いによって自然に訪れる場合もあれば、歳に関係なく事故や病気で降りかかる場合もある。
生家の片付けをし始めて暫く、自宅で生活を共にする父のちょっとした異変に気が付き、私は世間話として母に零した事がある。
「お父さん、今まで好まなかった色味の物を選んで愛用しているね」
それまで父は、自身が使う食器は陶器や焼き物を好み、私物は色味もまさに茶系の物やダークトーンの物を選び愛用していた。活用してる家具だって、全てダークブラウンの重厚なものを好んだ。
しかしこの数年父が自分で買い物に行き、買ってくる日用品は尽く明るいカラーの緑色一色。どちらかと言えば重い色を好んでいた父が、ミントグリーンやライトグリーンなどの色味の明るい物ばかりを選ぶようになり目についたのだ。愛用しているコップも、気が付けば陶器の物から元から自宅にあったライトグリーンの小さなサイズのコップに代わっていた。
書斎にあるダークブランの机で作業するよりも、リビングにあるホワイトオークの色味の机での作業時間がとても増えていた。
私に言われた母も注意深く観察してみて気が付いたようだ。
「本当だ。お父さん緑色の物ばかり愛用しているわね。アンタ、よく気が付いたわね」
好みとは、時として変わる物なのでそこまで気にしなかったのだが、何となく私は気になったので引っかかったのだ。そんな時、病院の検査で身体の問題であるのが発覚した。
父と母は仲良く片方は緑内障を、片方は白内障を患っていたのだ。(しかも父に関しては放置により症状が大分進行しており、昨年今年と手術をした。)
我が家は家系的に眼鏡家族で、家族内で裸眼で過ごせる視力の人間が居ない。両親も漏れずどちらも元から視力が悪く眼鏡を掛けないと日常生活が送れない。
そんな中での白内障、緑内障発覚で片付けや収納で変更した所がある。この数年、収納本では「ラベリング」が常套手段としてよく見かけるが、収納としての使いやすさはあれど、このラベリング気を付けないと老眼とは相性最悪になるのだ。
身体の機能が落ちると、小さな文字では見えずらい。もしくは特定の色味だけ見えずらく感じたり、見えやすく感じたりするようだ。個人の好みもあるかもしれない。
この為、我が家では両親でも苦なく読めるサイズのラベリングを採用する事にした。
イメージとしては図書館等にある本棚に刺さっている指標を想像して貰えれば解りやすいと思う。
下のカッターマットのマス目は1㎝×1cmなので文字が掛かれている部分の大きさが解りやすいだろう。文字を記載する項目部分は縦が3㎝、横が18cm程だ。
このサイズともなれば高齢者でもはっきりと、苦なく読める文字サイズとなる。
市販品でこの文字項目部分が大きく取られている商品(*)はほぼなく、百円均一ダイソーで販売されているPPクラフトシート(厚み0.75)の一番大きなサイズで自作している。A4サイズならばこのPPクラフトシート一枚で、二枚も作れる。
親指の第一関節ほどの大きさの文字にもなれば、両親もサラリと見える。父個人が使用している物に関しては、そこに色味も足す。
片付けや収納は「めんどくさい」や「不便」への解消方法としても有効であると思っている。
このラベリング方法で収納した家電説明書に関しては、取り合えず両親が眼鏡をよけて裸眼をフォルダに目いっぱい寄せて目を眇めているのを見た事がない。直ぐに欲しい冊子を取り出せるようになった。(ただし冊子本体の文字が小さくて読みずらそうではあるが…。)
他にもいくつか両親を基準に収納や片付けで導入している事があるがそれはまた、別の時にでも。
* 市販品で項目部分が大きく取られている商品…色々と探したが、「ナカバヤシ クリアファイル どっさり個別ホルダー」シリーズが唯一見つけられた個別フォルダーで文字の書き込み部分を大きくとっている市販品。私はこの商品を参考に文字項目部分のサイズを決めて作った。
他の他社製品ではこのスペースが小さすぎて、両親では文字が読めないサイズとなる。
我が家で全てこれで賄おうとした所、ファイル代金だけで一万円を余裕で超える計算になったので、泣く泣く自作しています。作る手間はあるけれど、お金大事。私はこういう作業が好きなタイプなのでまだ助かってます。