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"純度100%の暗闇"を体験してきた話
ダイアログ・イン・ザ・ダークというイベントに参加してきた。
視覚障害者の方にアテンドされて、まったく何も見えない暗闇の世界を体験できる体験型エンターテイメント。
普段ならどんなに真っ暗な部屋に入っても時間がたてば目が慣れてきて何かしら見えるようになるけど、このイベントの部屋はまったくの暗闇で、いくら時間がたっても何かが見えることはない。
目を閉じても、目を開けていても目の前は暗闇のままで、頼れるのは入り口で渡される白杖と、自分の触覚や聴覚のみ。
目を開けていると何も見えないのに何かを見ようとしている感覚がすごくよく分かるし、どんなに目を凝らしても何も見えないことによる怖さもあるので、目を閉じたままゆっくりと部屋に入る。
部屋に入る前に同じグループの人の名前と声を覚えて、部屋の中ではその人たちの声を頼りに前に進んでいく。
どこにも触れずに歩くのが怖くて、壁から手が離せない。声を出さずにその場にいると私の存在ごと消えていきそうな感覚になるし、グループの人の声の方向や距離にすごく敏感になる。
声を出すことの必要性と安心感をものすごく感じる空間だった。
アテンドしてくれた方は部屋に慣れているのもあると思うけど、音の反響である程度の空間認識ができるのだという。実際、見えているんじゃないかと思うほどの速さで部屋の中を歩き、私たちをアテンドしてくれた。
存在を認識するために“音”がどれほど大事かを感じた。そして、誰かの“声”が聴こえることがどれほど安心するかも感じた。
視覚がなくなるだけでこんなにもいつも通りの行動ができなくなるのかとびっくりするし、どれだけ視覚に頼って生活しているのかが実感できる。
単純に視覚障害を体験するだけではない気づきがたくさんある。コミュニケーションや、身の回りへの感覚に対する新しい見方を教えてくれる、ぜひ体験してみてほしいイベントだった。