見出し画像

「"いろんな人”をどんどんテレビに出して!」 SHELLY×NHK

NHKでは、メディアなど各界で活躍する方にNHKについてのメッセージをお聞きし、1分のミニ番組として随時放送しています。

1分ミニ番組といっても、もちろんたっっっぷりお話を伺っています。
その内容は、放送だけではもったいない!ということで、編集で泣く泣くカットした部分も含めて、全文公開させていただくことにしました。
(ご快諾いただいた話し手のみなさま、ありがとうございます!)

今回は、幅広いメディアで活躍を続けるタレントのSHELLYさんに、NHKについてお聞きした内容です。


日本語を忘れないために見ていた「おかあさんといっしょ」

Q:NHKの番組で特に記憶に残る番組はありますか?

海外ドラマ「フルハウス」(1993~1997年放送)を子どものころによく見ていました。 
英語を聞けることが子どもながらにおもしろかったですし、物語が単純に楽しくて!海外の面白いドラマを日本で見ることができたのはうれしかったですね。

あとは、やっぱり「おかあさんといっしょ」(1959年~)。アメリカに少しだけ住んでいたときに、日本に住むおばあちゃんが録画したものを送ってくれて。日本語を忘れないためにも、見ていた記憶があります(笑)。

画像 左:SHELLYさん 右:おかあさんといっしょ 1959年~放送

自分にとって「おかあさんといっしょ」は、子どものころにずっと見ていた、安心感のある番組なんです。
だから娘たちにも見せていますし、私が子どものころによく聞いていた童謡などが今も放送されているので、“世代を超えたつながり”を作ってくれている番組なんだなと感じますね。

「おかあさんといっしょ」のように、みんなが当たり前のように視聴する番組を長らく制作し続けるってすごいこと。放送局としてのパワーを強く感じます。

画像 「にこにこ、ぷん」を視聴

これは変な話かもしれないですけど…視聴率が取れる取れないじゃなくて、世の中に必要だと思うことを放送し続けるNHKのすごさを、今になってすごく感じるんですよね。

例えば「フルハウス」は、まだ海外ドラマを見るという文化がそんなに定着していなかったときに、NHKが先んじて放送してくれたおかげで、私のように外国にルーツを持つ子も安心感を持てていたんじゃないかなとなんとなく思うんです。

今でも万人ウケするものだけではなく、それぞれに寄り添ったコンテンツをしっかり放送してくださっていて、すてきだなと思います。

しっかり、丁寧に制作していることが伝わってくる

NHKの子育て番組などでは、同性カップルを当たり前に取り上げていますよね。
それは「こんなに辛くて、大変な思いをしているんだ」というネガティブな面にフォーカスするのではなく、「楽しく子育てできていて、みんなすごくハッピーなんですよ」っていうポジティブな伝え方をしているんですよね。
それがすごくうれしかったんです。

この話題は取り上げるべきものだから放送するんだという姿勢はNHKの強みだなって思いますね。
逆に、時流に流されるようになってしまったらダメだなって。こんなこと私が言っていいのかわからないですけど…。

何をもって“フェア”といえるのか難しいと思うんですね。いろんな見方があって、いろんな受け取り方がありますから。
そのことを制作スタッフさんがすごく考えながら作っているんだなっていうのを、番組を見ていて感じることが多いんです。

「ほら、ちゃんとLGBTQを取り上げているよ」というような態度じゃなくて、今流行ってるから単に取り上げるのでもなく、
ある誰かのためにしっかりと、丁寧に丁寧に伝えていきたいという思いで番組作りされているっていうのが、伝わってくる番組が多いなと感じますね。

いろんな角度から掘り下げる、語学番組のすごさ

Q:では「教育」という観点からは、NHKの番組をどのように感じておられますか?

実は私のNHKでの初仕事が、10年以上前の英語番組のスキットの声優だったんです。日本語をいっさいしゃべらない、ナンシー役だったんじゃないかなあ。
その後「リトル・チャロ」にも出演させていただきました。今は子どもたちと一緒にEテレを見ることが多いですね。

語学番組って、その語学を身につけてもらうという目標はずっと変わりませんよね。
それを「この単語はこういうリズムで覚えると、イントネーションをより自然に発音できるようになるよ」とか、英語の語学番組だけでも、ものすごくいろんな角度から、学びを深めることができるんですよね。

それって本当にすごいなと思っていて。視聴者を飽きさせないすごさというか。たぶん同じ番組を長く見ていても、「ああなるほど、こういう英語の覚え方もあるんだね」っていう新しい発見をさせてくれるんでしょうね。


また今は新型コロナウイルスの影響で、これまで続けてこられたことが同じようにはできなくなっています。
「おかあさんといっしょ」では、子どもたちが出演できなくなり、うたのおにいさん、おねえさんだけが出演されていますよね。

でも、その中でも体操のおにいさん、おねえさんが、本格的な体操を見せてくれるなど、新しい見せ方を工夫されていて。
時代に合った見せ方をすごく考えられていますよね。このコロナ禍の今だからこそ、できることを見つけ出そうとしているというか。

「おかあさんといっしょ」ではこんなにも長く子どもたちが登場しないのに、飽きさせないものを作り続けているというのは、番組を制作している方々はもちろんですけど、おにいさんおねえさんたちの努力なしでは無理なこと。

「おかあさんといっしょ」はじめ長寿番組っていつもおなじような内容に見えるかもしれませんが、常に新しい見せ方を考えているからこそ、こんなに長く続いているんですよね。本当にあっぱれ!だと思います。

ダウン症や車いすの子も、もっと子ども番組に

Q:最後の質問です。今後NHKはもっとこうあるべきという意見がありましたらぜひ聞かせてください。

そうですね……例えば子ども番組で一般の子どもたちがたくさん出演しているなかに、ダウン症の子や車いすの子、私のような外国にルーツを持つ子がいたりしてもいいのかなと。
もちろんすでに出演しているとは思うんですけど、もっと出てきてもいいのかなとも思ったり…。

画像 SHELLYさん:子ども番組に当たり前に車いすの子

特にEテレの番組は多くの子どもたちが見るので、番組を見て、障害がある子の存在が当たり前に感じるくらいになったらいいなと思いますね。

番組で、車いすの子や障害がある子が当たり前にいたら、町中で出会っても、指をさすことなんか当然しないだろうし、マイノリティーの存在に何の疑問も生まれなくなるはずだと思います。

私たちの世代では、障害がある子は別の学校に通ったり、別のクラスに行ったりすることがほとんど。
今もまだそうですが、「LGBTQ」に対することもとても言いづらい世の中でした。

だからその人たちの象徴となるような、ロールモデルの存在もあまりいませんよね。声もまだまだあげづらいように思います。

そこでやっぱりメディアが、ロールモデルとなるような存在を、ドラマやバラエティーなど、いろんなジャンルに出していくべきだなと思います。ぜひ率先してやっていってほしいです。

そして今は若い世代になればなるほど、どんどん多様な考えを当たり前に持って育っています。それはインターネットやSNSなどの影響が大きいはず。
私たちの世代は、同じクラスの子や近所の子くらいしか深く関われなかったんですよ。

今の若い子たちはSNSなどで世界中の人とつながれるからこそ、いろんな人がいることを知っているし、障害もその人の個性だと捉えられているように思います。
私たちの世代よりものびのび育っているような気がするので、そんなことももっともっと発信してほしいですね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「丁寧に番組を作ることの重み」、「多様性を発信することの大切さ」を熱く語ってくださったSHELLYさん。NHKへのメッセージ、ありがとうございました。

また、SHELLYさんが世の中の不可思議な刷り込みについて、もの申すドキュメンタリー番組「ノーナレ ちょっとだけ聞いて」(2020年12月14日放送)。こちら現在NHKオンデマンド(有料)でご覧いただけます!

※ほかにもSHELLYさんに関連するコンテンツを公開中です!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

▼テレビプロデューサー・佐久間宣行さんからNHKへのメッセージはこちら▼

▼女装パフォーマー・ブルボンヌさんからNHKへのメッセージはこちら▼

画像 執筆者へのメッセージはこちら