ラミレス監督は本当にダメ監督なのか?

キャプチャ

今年のベイスターズは山崎の絶不調にもかかわらず、開幕1か月で勝利5割をキープしている。これがいいのか悪いのかよくわからないが、後ろの投手が既に3敗もしているのに、まだ5割ということを考えると、何とかやりくりしている感じか。とは言え、ラミレス監督に対するFacebookのコメント、Twitterのハッシュタグ、ヤフーコメント等は、最下位なの?というくらの罵詈雑言で、ただの悪口大会となっている。とりわけ、そのあたりでコメントしている論者は、投手が打たれようと、野手がほとんど打たずに負けようと、選手はあまり悪くなく、ラミレス監督が悪いという「愛国無罪」の発言だらけだ。ようは、負けたら全部監督が悪くて、選手がかわいそうというテンプレに乗せているだけだろう。さらにはこんな状態は南場オーナーが悪いという株主もびっくりな発言で、読むだけ損する感じが、ある種のゲテモノ食いみたいな感覚でよく読んでいたりする。
とは言え、人には好き・嫌いがあるから、ある程度はやむを得ないのは理解しているが、ラミレス監督は、本当に退任しなければならないような監督なのか?ということを過去のベイスターズの監督と比較して、あくまで定量的に評価してみることにした。

①勝率
1位は98年~00年まで監督を務めた権藤監督で、3年間すべて勝ち越し、ホエールズ/ベイスターズを通して本人以外に達成したことない大記録。かく言うラミレス監督は、権藤監督に次ぐ通算勝率の結果となっており、逆にいうと2人以外の監督は、すべて5割以下の通算成績ということだ。ちなみに勝率5割の監督というと、試合数が違うので比較はできないが、野村克也氏で3204試合1565勝1563敗76分となる。

②通算監督年数(連続)
5年とベイスターズになってからもっとも長く監督つとめており、ホエールズ時代まで遡ると、1960年~1967年まで監督を務めた三原脩の8年についで、別当監督と並んでの長期政権。ラミレス監督は散々言われてはいるものの5年連続で監督を務められるのは、やはり結果が出ているからであろう。当然、今期、監督を務めているのも球団なりの分析があってのことだと思う。

③試合数・勝利数等
監督年数と連動しているので、他の監督との比較は難しいが、500試合を越えているのが中畑監督とラミレス監督だけ。なおホエールズから遡るっても三原監督546勝、別当監督の1次政権が307勝に次いで歴代3位の成績。なお、ラミレス監督は今季295勝のため単独2位になるのは必死。ちなみにベイスターズで最多敗は319敗の中畑監督で最高順位も4位。ただし、ラミレスやめろ論者は中畑監督好きがやたら多い。まったくもって理解ができない。

④平均打率
歴代監督と比べると凡庸な成績で、打率だけで考えるとベイスターズ歴代監督の中でも下位に属する。本塁打王、首位打者を輩出しているのでもう少し打っているかと思っていたが、それほどではない結果に。一方、集計していて再認識したのだが、権藤監督は3年で通算で.283という驚異的な打率を残している。

⑤平均防御率
意外といえば意外だったのが、単純平均とはいえ歴代のベイスターズの監督の中では、一番よい結果となった。ラミレス監督指揮下ではどちらかというと投手のチームが強いことがわかる。やられ方が派手なため、投手起用方法や継投でめちゃくちゃに言われるが、あの権藤監督よりも良績ということを留意する必要がある。

歴代の監督との比較をしてみたのだが、打率以外の成績では、ほぼ良績で、これでやめろと叫んでいる方々は、超近視眼的で、かつラミレス監督が著しく嫌いで悪態をついているだけということが分かった。好き・嫌い以外で本件を超越する理屈があったら教えてほしい。ともあれ、ホエールズから始まって71年の歴史の中でも、ラミレス監督は、かなりの名将といってもよいかもしれない。(もちろんホエールズ/ベイスターズのローカライズの話)

ここからは私なりの定性評価。ラミレス監督の起用方法や采配で、結果がでないと監督のせいにするというのもわからないでもないが、プロである以上、選手はそれに従い、打つ/抑えるが当然である。従って結果でなかった場合、責任があるのは当事者の選手で、責任を取るのが監督であるにすぎない。やる気が出ないから打てません、抑えられないというのは、小学生の「今やろうと思ったのに、言われたからやる気がなくなった」というのと同じ理由になる。よくコメントに「それでは選手にやる気がなくなる」というが定型文になっているが、普通に考えて給料を稼ぐためにやっている集団にそれは、ないだろうし、仮にそうだとしたらプロとは言えない。

それにしても、どうしてもここまでラミレス監督は嫌われるのか。96年・97年の大矢監督にしても、98年~00年の権藤監督にしてもコーチとしてはベイスターズで経験はあるものの言わば外から来た人であり、それなりに人気がある。さらにいうと、一部はラミレス監督よりも成績が下回ってもだ。確かに奇抜な采配があったとしても、通算の結果としては、まずまずとしても何故、そうなるかのか。ある程度、インターネット上の残念な意見が牽引していることは間違く、正誤はどうでもよくて、単に声大きくて、途方もなく残念な人たちの意見が、それっぽく支配している典型的な話ではないかと分析してみる。

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