LOVE戦! 〜5thGenerations 〜
「「いってらっしゃいませ!若!」」
仰々しい屋敷の門に並び立つ黒服の男たち
傍らには和服を着た好々爺がいる
○○:いいってそれやらなくて。
祖父:孫の門出くらいやらせてくれよ。しばらく会えないんだから。
○○:3年間ありがとうね。行ってきます。
祖父:涼と美月さんにもよろしく言っておいてくれ。
屋敷からちょっと歩いたところにあるバス停からのり、京都駅へ
そこから新幹線で東京へ。さらに乗り継ぎを経て…
○○:ただいま。
『おかえり~遠かったでしょ!』
『迎え行こうと思ったのに。』
元アイドルの母と現役警察官の父
父の海外勤務に伴い、『アメリカとかイギリスみたいなメジャーな国ならよかったのにね~』
と言っていたように勤務地がシンガポールだったため、自宅待機
それで京都にいる祖父宅に引き取られたわけだが、元々父の家系がヤーさんで苦労した
涼:もう黒塗りの高級車で送り迎えされることはないぞ
美月:あれ迫力あったよね~
祖父宅のことはばれなかったものの、黒塗りの高級車が頻繁に目撃されるなど、変な噂も億建ってしまった
問題は高校でまた東京に戻ってきたことによって友達を新しく作ること
そんなにしゃべれる方ではないので不安が残る
話を聞くところによると、通う高校は両親の母校で同級生が先生をやっているんだとか
涼:大丈夫だって、中学3年間で強くなったんだろ?
○○:まぁ、強くなったとは思うけど…
私立乃木坂学園高等部
数々の芸能人はもちろんのこと、時代にときめく大物社長から天才ピアニストまで、数多くの才能を輩出してきた名門校
その名が知れ渡る頃には倍率10倍を超える激戦必至の難関校になっていた
昨今の時代の流れに合わせ、入試もただ知能を図るだけでなく、多角的に人材を求めるようになった
クラス発表の張り出しに群がる新入生を見ると入学したという実感が湧いてくる
クラスは1-A
扉を開けた時、自分がかなり出遅れていることを察した
もうすでにグループが出来つつある
最近のネット及びSNSの発達により、入学前から同じ新入生どうし仲良くなっていることは珍しくない
早くもこれからの学園生活に不安を覚えながら席に着くと
??:あれ○○じゃん!
○○:さっちゃん?
咲月:○○友達できた?
○○:まだですね!
咲月:だと思った。紹介してあげるから来て~
幼馴染の菅原咲月についていくともう一人の女子生徒がいた
咲月:和~幼馴染連れてきたよ。
和:いつもよく話してた人?
井上和さん、咲月の親友らしい
この2人見ただけでもわかるが、この学園は女子のレベルが高い
さっちゃんも、一瞬誰かわからなかったほど美人になっている
周りを見渡しても美男美女が多いこと
自分との違いに思わずため息が出ちゃうね
咲月:…○○なんか変わったね。
○○:そう?
そうこうしているうちにもう2人の女子がやってきた
奈央:和、咲月おはよ~
咲月:おはよ~幼馴染が同じクラスだった!
茉央:噂の咲月の彼氏さん!?
…いつの間にかさっちゃんの彼氏になってるな?
富里奈央さんと五百城茉央さん、2人も中学の友人だそう
咲月:○○スマホ貸して、まだグループ入ってないでしょ。
○○:助かります。
女子の連絡先が4人増えました。めでたしめでたし。
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華のJKになった。髪色も少し明るくした。JKだし。
クラス分けの紙を見た時私はほんのちょっぴり心が躍った
○○が同じクラスってわかったから
別に好きってわけじゃないけど、やっぱり昔からの幼馴染が戻ってくると嬉しいじゃん?
まぁ和とかを紹介したときは見事に鼻の下伸ばしてて殴りたくなったけどね
奈央:ねぇ茉央、私たち○○君に会ったことないかな?
咲月:えっ2人とも会ったことあるの?
和:咲月食いつきすぎ。
茉央:さすがに初めましてじゃない?それかどこかで見かけたとか。
奈央:んー、だとしてもどこで見かけたんだろうなあ。
もちろん私は中学3年間で○○に会ったことないし見たこともない
奈央たちが私の知らないとこであってる…?
ちょっとだけ、ね
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入学式でありがたーいお話を頂く
隣の女の子はなんだか眠そうだ
クラス担任は梅澤先生という先生になる。あの先生が両親の同級生なのだろうか。
クラスに戻ると早くもざわつき始めている
先生まで美人だったらこの先どうなっちゃうんだという嘆きに近いもの
??:あ、そのストラップ。君も見てるんだねあのアニメ。
○○:自分以外で初めて見ました、それ付けてるの。
アルノ:気が合いそうですね。中西アルノって言います、あなたは?
○○:鳴神○○です。
窓も扉も締まっているのに、風が吹いた気がした。
つづく
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