ロストマイン ♯3
『女1人みつかんねーとはどーいう探し方してんだァ!』
「ひぃっ!若頭申し訳ございません!」
―――
瞳月『近くの公園で待ってるね。』
放課後、山下さんから連絡がきた
お互い部活もやってないから夕方はかなり時間がある
今付き合っていることが周囲にバレるのは面倒なのでこうして学校から離れたところで合流しているわけだ
○○:お疲れ。
瞳月:こんなところで会ってるなんて本当に付き合ってるみたいだね。
○○:えっ本当に付き合ってるんじゃないの?
瞳月:ふーん。○○君ってそういうこと言うんだ。
山下さんと学校からの帰り道
純葉とめっちゃ仲良くなったらしい
この辺は流石だなと思った
瞳月:○○君って相棒何使ってる?
○○:クロツグ17αかな。
瞳月:うわ!めっちゃいいやつじゃん!
○○:色々と使わしてもらったけど、あれが一番手になじむ。
瞳月:私は逆にもっと重い方が使いやすいって感じるんだよね。
○○:あ、ちゃんと狙いつける人だ。
瞳月:そうそう。だから今はKSP40を使ってるんだ。
○○:渋いな~あれおっちゃんが使ってるイメージだわ。
瞳月:シンプルで使いやすいし、無駄なものがついてないから好きなの。
○○:もうちょっとかわいいもの使ってほしかったな。
こんな話は絶対他ではできないだろうなと
山下さんも結構組のみんなについていってるみたいだ
やっぱり俺は山下さんの硝煙と薬莢の匂いが好きなのかもしれない
話をしているうちに山下さんの家に着いた
瞳月:○○君明日も来てくれる?
○○:山下さん寝坊しそうなので明日も行きますよ。任せてください。
瞳月:へへ、やったあ。後さ…
○○:何ですか?
瞳月:ううん、なんでもない。じゃあねおやすみ~
山下さんと2人の時は年頃の女子っぽい話はあまり聞かない
純葉がザ・JK!って感じの人間だから仲良くやれてるのが不思議だ
彼女は恐らく望んでこの世界にいるんだろうな
できれば抜け出したい俺とは大違いだ
○○:ただいま。
「おかえりなさいませ!若!」
○○:昼の電話の件は本当なのか?
「本当かどうかはこれから調べるとしても、簡単に見えるところにはないっすね。」
○○:つまり、そういうことか…
「はい。誰かが意図的に村井優の戸籍を遠ざけているのは間違いないですね。」
「本人どころか親兄弟まで不明なんですからこれ相当やばいっすよ。」
○○:まだ普通の自殺の方がなんぼかよかったか?
「そういえば若、色々あったせいで若頭が帰ってくるみたいですよ。」
○○:それは賑やかになるね。
若頭の帰りを待つこと数十分
並々ならぬ気配を感じ、構成員が総立ちになる
「おかえりなさいませ!若頭!」
雰囲気のある女性が入ってきたかと思ったら…
??:○○~!!!!
俺に向かって一目散に突進してきた
○○:うげぇっ!いだい!ぐるじぃ…!
??:あいだがっだよお゛!!!
父:やめんか。
小島凪紗
八鎩會若頭、二十歳そこそこでうちの若頭になった実はすごい人である
愛情表現が多少過激なところを除けばめちゃくちゃいい人である
ただ怒らせると怖い。身内にも容赦しない。
久しぶりにみんなで食べた夕飯はとてもうまい
その夜、凪紗姉に呼び出しを受けた
凪紗:学校楽しい?
○○:おかげさまで。
凪紗:○○が気にしてる、飛んだ件について帰ってくる前に調べたけど面白いことになってるね。
○○:ごめんね、凪紗姉にまで迷惑かけて。
凪紗:いいって。血がつながってなくともうちは家族じゃん。でね、現場の状況からみて自分の意志で飛んだことには間違いない、ただ…
○○:ただ…?
凪紗:誰かにそそのかされた場合を除いてね。
○○:…現場に人がいたってことか。
凪紗:ギリギリまで第三者がいた可能性はかなり高いね。そいつが戸籍をいじったかまではまだわからないけど。
○○:そっかありがとう。だんだんわかってきたね。
―――
ここのところ、毎日山下さんのお宅に迎えに行っている
動画の見過ぎ、ゲームのやりすぎでついつい夜更かしをしてしまうのだそう。
瞳月:おはよぉ…ふわぁ。
欠伸をしながらの、かなり眠そうな山下さんが出てきた
寝起きながらも頑張って身だしなみを整えました感があってちょっとかわいいなと思った
彼女もまた極道であることを隠しているため、学校での人気は高い
これを見せれば大抵の男子はイチコロではないだろうか
ぶっちゃけ、結婚してえってなったのは事実だ。
○○:そんな眠くなるまで何見てるの?
瞳月:猫の動画とかだね、あとはゲームの動画とかかな。
○○:へぇ、ゲームとかあまりやらない方だと思ってた。何やるの?
瞳月:主にFPSかな。最近のはリアルでいいよね。臨場感が違う。
○○:日常的に打ってるの見てたらそう思っちゃうよね。
瞳月:今度2人で一緒に殺そ?
極道だからこそ違った意味でとらえられてしまうことを彼女もよくわかってるはずだ
だからこそのこの言い方
山下さんは身長が低く、俺と話すときはだいたい上目遣いになる
こいつ、実はすごくあざといんじゃないか?
2人でゲームをする約束をし、学校に着いた
理佐:今日は体育祭のあれこれを決めまーす。
そう、6月にはこれがあるのだ
仁義なき筋肉の戦い、体育祭が
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