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Day2_DX人材育成講座 リスキリングとユーザー体験の設定 本当の学びとは✏

Day1の振り返りは以下になります。

Day1_DX人材育成講座 イントロダクション 守りのDXと攻めのDX🍎🍏|Soul-in@雇われ院長 Lv.5


1.デジタル化とは、目的に合わせて情報の顔つきを変えることである


DX=Digital Transformationの略でした。
では「デジタルとは何か」と言う定義の話から。

AI様の分かりやすい解説

アナログ時計は秒針は常に動いている。本来、時の流れは連続的であり、区切りはないものである。人間が定めたので、1分と区切りがあるだけである。

デジタル時計を見てみると、◯◯時◯◯分としか出ていない。表示上は秒以下の情報が切り捨てられているということだ。
デジタル時計は時間と言う連続的なものを「1分」という区切りで切り取ったものともいえる。

デジタル化とは、一定の区切り(基準値)を作り数値に変換しデータとして扱えるようにすることである。

■アナログ
連続性: アナログは連続的なデータを扱い、情報をそのままの形で表現する。
曖昧さ: アナログは曖昧で、細かいニュアンスを伝えることができる。
劣化: アナログデータは劣化しやすく、再現が難しい。
感覚的理解: アナログは感覚的に理解しやすく、豊かな表現が可能。

🔲デジタル
離散性: デジタルはデータを段階的に切り取り、0と1の二進数で表現する。
正確性: デジタルは正確でエラーが少なく、データの再現や復元が容易。
セキュリティ: デジタルデータは暗号化しやすく、安全に扱える。
情報量: デジタルは情報をコンパクトにし、ネットワーク上でのやりとりが容易。

デジタル化とはデータのアップグレードではなく「欠損」である。もともと連続的な情報を区切って、機械に扱える形に落とし込んでいっているから。
つまりデジタル化とは、目的に合わせて「何を残し、何を減らすか」を意識せねばならない。

だから我々がまず目印にすべきことは「機械にできることは機械にさせ、人は人しかできないことをやる」であり、作業を機械に自動化させることで可処分時間を作り、それを人間しかできないことや、生産的な時間や革新、チャレンジへと再投資する必要がある。

2.デジタル化と医者の研究の共通点

「なんかデータを作りたい」「とりあえずデジタル化したい」「ペーパーレスで良い感じにデータ化したい」「なんかとりあえずためこんだデータがたくさんあるんだけど、これを使ってDXできませんか?」は無理。

なぜなら目的があってこそ、「このデータには価値がある」というものになる。目的意識がないデータは何の役にも立たない。まずはデータの収集から目的意識が必要である。なぜならアナログをデジタルに持っていくとは、データの欠損になるからである。

講義より

ここまで聞いて、同じような話を聞いたことがあるなと思ったのは研究業務である。

・研究とは必ず一つは世界で初めてのデータがなければならない

勉強と研究とは何が違うのでしょうか?

・臨床研究の始まり

少し自分の専門分野について話させていただく。
自分は肝臓癌の臨床研究をしていた。論文を書いた2017年当時、粒子線治療(陽子線・重粒子線治療)は自由診療であり、肝臓癌には保険診療の適応はなかった。自分がいた病院では手術やカテーテル治療を避け、自由診療での治療を選択する患者さんも多かった。

しかし適応が定まっていなかったため、医者と患者の「希望」に依存した治療選択例が数多あり、予後(生存期間)は様々であった。そこで自分のボスは「粒子線治療により利益が得られる患者さんとそうでない患者さんを治療前にわかるクライテリアがあればよいのではないか」と考えて自分にその研究をさせてくれた。

その時の研究が始まる道のりは以下の通りであった。

上図のように、目の前の課題意識、世界のテクノロジーの進歩、目指すべきゴールを意識した結果、当論文は無事にアクセプトされた(IF=7.7)
いまでは肝癌治療ガイドライン(2021年度版)にも引用され、自分の肝癌分野で形に残る仕事にできたのを当時は嬉しく思った。

・未来を見通す目

もちろん価値ある論文に仕上がったのは自分の力ではない。保険診療に答えのない治療選択をするシチュエーションで、世の中の課題を見つけ、目的意識をもってデータを集めさせ、一定の水準で結論を世に出すという過程はすべてボスが描いたものだ。

簡単に書いたが、がん治療において「保険診療に適応がない病態」はすなわち死を指す。保険適応外の治療を選択することは患者さんの残された時間にも、心理的にも、経済的にも大きな不安を抱かせながら治療を選ばせることである。

そんな中で人の命を預かりながら、粒子線治療の選択をし、データをとるのは自分にはつらかった。当時自分は28歳だった。筑波大学の陽子線治療センターや兵庫県立粒子戦線医療センターへ行き、有識者の話を聞きながら肝臓内科医と放射線科医が「目指すべき答え」について模索した日々だった。

そうして多くのプロと話していると、皆答えを持っていないのは同じだった。その中で過去の論文だけを羅針盤にして、自分の責任で未来の治療へと医療を進めていこうとしていた。この答えのないものにアプローチするために「未来を見通す目を持とうとする」姿勢はVUCAの時代において、すべての人間が持たねばならないものなのだと思う。
そんな経験をさせてくれる研究業務を、医者は自分に指導者がいるうちに一度はしておいた方が良いだろう。これは研究をする理由のひとつの答えだと思う。

3.ゴールまでの道筋は自分で組み立てねばならない

機械にできることを見つけるためには、新しいことをキャッチアップし続けて、自分の仕事がどう変えられるか試行錯誤し続ける必要がある。
これから自分の職場、職種の未来がどうなるかは誰も分からない。まずはその事実を認知し、先が見えない・誰も正解を知らない未来の答えの見つけ方を身に着ける。

現場の困りごとから機械に任せるべきこと、を洗い出すのに誰かに相談していては大変だ。なぜならそのためには、まずはあなたの業務をすべて洗い出して伝えて理解させる必要がある。だからそれは自分でできるようにした方が良い。圧倒的に安価で早いし軌道修正も容易だ。

しかし、自分で業務改革を行う、新たな手法を取り入れる、などはどこの本にも書いていない。私たちの戦える武器とは、SUNABACOで習ったとかではなく、自分たちで新しいことを調べキャッチアップしつづけ、「こういうのがあったらうまくいくんじゃないか?」ということを着想し、うまくリスク・コストを小さく回し続け、良い形を自ら見つけていくということ。

4.変革のための3段階【探索→学習→実践】

・探索
知らない世界にどんなものごとがあるのかを把握し、やりたいことのために何をどこまで学ぶ必要があるかの計画が立てられること
・学習
実際に行うための体系的な知識を習得し、自分が行動できるだけの情報を集めること
・実践
自分で手を動かすことで、現実に即した事実情報を得て、実現に足りないものを確認すること

講義より

・本当の学びとは

従来の学校教育のように規定された学びがあり、学びより実践がより小さい規模で乗る、ではこれからの時代はダメ。

逆に実践(やりたいこと)が先にあり、実践のために必要な学びを採りにいくのが本来の「学び」。なるべく早く実践までもっていき、上手くいかないことが学びとして足らなかったこと、として認知される。そして探索や学習のフェイズに戻っていく。

このサイクルをグルグルと高回転させていくことが答えのない世界では大事。何が正しいのか、どういう進め方が良いのかすら分からないのだから。

私たちは「自分たちがどうなったらより良いのか、と言うのはみんな分からないですよね」ということに合意しながら、ちょっとずつ試し、失敗しながら実務を回していく必要がある。

・時代に合わせ変化しないと、いつか大きな変革を強いられる

変化しないと、いつか大きな変革を強いられるか、順応できずに死ぬしかない。大きな変革が起こるときは、失敗の力量も大きくなる。
それを真正面からくらわないように、失敗を小さくでもいいからしていくことで、失敗の総量を下げていく。

5.ユーザー体験の設定

顧客が本当に求めるものは、顧客の口から出る言葉の中には大体ない。

顧客がお金を出してでも欲しいと思う商品の価値とは

また、顧客がその商品に感じる価値は、原価には依存しない。
100円のコーラが高級ホテルのルームサービスでは1,000円の値付けになる。
裏を返せばどれだけお金をかけてシステムを作っても、価値を感じなければタダでも使われない。

私たちが求められていることは……
・やりたいことをやるのでもなく
・できることをやるのでもなく
・求められていることはそもそも何なのか
 +それはどういう構成要因で成り立っているのかを正しく観測して
  求められていることを最小工数で正しく実装して叶えること

講義より

最後のコマのユーザー体験の設定はとても難しかった。例として出されるとなんとなく理解できるけど、自分の前に物言わぬ顧客が現れた時にそれを嗅ぎ取ることができるだろうか。

自分は成果物として商品を生み出したことはあまりないが、強いて言うなら人間ドックのコースなどは内容に応用できそうだ。
健康診断は、見落としがないことは当たり前だが、半日時間を作って病院へ行くのだ。しかも病人ではないのに。
顧客の求めるユーザー体験は、ホスピタリティありリラックスできる、駅から近い、早く終わる、結果が紙でなく持ち歩ける形で共有される、などがあるだろうか。

拙い自分の経験だが、「求められていることを嗅ぎ取る」は営業職に似ている。指名され人気の出る人間は、相手の気持ちや求めるものを即座に察知し、合わせることができる。

1日外出録ハンチョウ 15巻より(萩原天晴/講談社)

そう、このように美容師、マッサージ師、バーテンダーなどの1対1で顧客とコミュニケーションをとりつつサービスを行う職種は、相手の空気に合わせて自分を変化させる能力が必要である。

医者も同じである。偉い先生の「名物外来」などは一握りの圧倒的技術や知識の持ち主にしか許されぬ話であり、多くの医師は「自分に会いたい」と思わせる価値ある患者コミュニケーションを行うよう患者さんと向き合わねばならない。

常に顧客と相対する時は「相手の求める、まだ表面化していないユーザー体験」を意識して仕事をせねばならない。まさにここでもよく見て、考えるが出てくるのだと思う。

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