小説「ダンピールさんの生活」1話
この世界には様々な種族が存在している。
最も数が多いのは人間だが、他に吸血鬼や狼人間、人魚、妖精、魔力をもつ人間など色々だ。
薬などの医学的処置によって、ふつうの人間に近い状態で生活している。
人間との共生の為に人間やほかの種族を襲ってはいけない法律も出来ている。
ちなみに私はエリーとういう名のダンピールだ。
最近一人暮らしを始めた。
そうそう、ダンピールは吸血鬼と人間のハーフのこと。
薬で吸血衝動を抑え、日中でも活動できるようにしている。
今日は家の近くのデパートでショッピングの予定だ。歩いて向かう。
休日で天気もいいのでやはり街は賑わっている。
「エリー!」
振り向くと友人のマリンがいた。彼女は人魚で今日は薬で人間の姿になっている。陸で人魚の状態じゃ鱗が乾くし、何より動きづらい。
「この前鱗染めたんだけど陸だからエリーに見せられないのが残念だわ。」
「今回は何色にしたの?」
「ラベンダーよ。今流行ってるみたいなの。エリーは髪の毛染めたりしないの?」
「うーん、そうだなあ、、金髪とかしてみようかなあ。」
「いいじゃない!染めたらpicksにあげてよね!」
picksとは、写真やイラストなどの画像と文章を同時に投稿できるSNSだ。
「えーやだよー。」
そうこうしているうちにデパートに着いた。マリンはすぐさま洋服を見に行く。
「これ試着しよーっと!」
私もせっかく一人暮らし始めたんだし、今まで来たことない感じのお洋服着ようかな。親にとやかく言われないしね。
ここまで考えて、私は首を横にブンブンと振った。邪念を振り払うように。
「どうしたの?」
「うんや、なんでもない」
「そ?」
マリンは気にも留めず、これ試着しよっかなーとぶつぶつ言っている。
いや、マリンのことだからなんとなく察して気づかないふりをしてくれているんだろう。
彼女のやさしさが私にはありがたかった。
「これエリー似合いそう!着てみなよ!」
私は水色のワンピースをあてがってみる。
試着室で着替えると、顔色が明るくなった気がした。
気分を上げるためにも購入することに。
食事をした後デパートを出てマリンと別れる。
さて、明日は仕事だ。
夜空を見上げると、なんだか星が目に沁みた。
続く→