【Album】「共鳴 / チャットモンチー」
チャットモンチー2年7ヶ月ぶり6枚目のアルバム「共鳴」。デビュー10周年は、すっかり落ち着き払ったリテイクのベスト盤などで周年リリースを飾る…なんてことをしないのが、さすが進化を続けるバンド「チャットモンチー」。加えて、SONY系で最も尖っている(であろう)レーベルであるKi/oon Musicが放つ渾身の仕上がりとなっている。レコーディングはチャットモンチー、男陣 (チャット+恒岡 章、下村亮介)、乙女団 (チャット+世武裕子、北野愛子) 、チャット+恒岡 章、の4つの形態が混在しているも1枚のアルバム内で見事に共鳴している。
もうひとつ話題になった、チャットモンチー初の作詞提供を受けた点もおおきな共鳴ポイントとなっている。えっちゃんが大ファンであるという直木賞作家・西加奈子さんがM-09「例えば、」の作詞を手掛けている。
これまでのチャットモンチーは主に3ピースバンドとして、音の「数」をいかに減らして、ライブで表現(再現)しようか…と思っていた部分があったように感じていた。それが2人体制になって試行錯誤の末に、男陣、乙女団という強力な音「数」を手に入れた。特に世武ちゃんとの共鳴はチャットモンチー特有のスリリングなライブ演奏に大きなスパイスを加えるであろう。
特に2月にリリースされたシングルであるM-11「ときめき」は終盤でキュッとアルバム全体を引き締めるツボを押さえた楽曲になっている。
また、M-3「ぜんぶカン」では、チャットモンチー初のRAP調の曲が収録されている。チャットモンチー特有の”完成度のたかい自由”さとチャレンジングな姿勢が、いつもチャットの新譜で感じる「心配心」がくすぐられて、逆に安心感にもなっている。
世間では、もうすっかりお姉さんバンドになっている感があるチャットモンチーだが、自分の中ではまだまだ心配でたまらないバンド。心配でたまらないけど、えっちゃんのツヤが増してくるボーカルや、あっこちゃんの頼もしい一人屋台骨っぷりから、二人の中からも新鮮な”共鳴”が次々と繰り出される”音”を聴いて、2年7ヶ月ぶりにホッと安心した作品でもありました。
【関連リンク】
■チャットモンチー オフィシャルHP
http://www.chatmonchy.com/