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【ノーサイド・ゲーム】ご意向とフロイデ。【第6話】

ひとよんで(よんでないかも)「富永会長のご意向回」、第6話。

■ GM会議!
6話も安定して〈エンブレムと共にまずは声から〉登場の、木戸専務理事。
尾藤イサオの声が好きすぎて、この始まり方だと、姿がうつるより前に「ファッ!」ってなるので困るな。…ファッってなんだよと自分でもおもうが、あの〈やや心臓にわるいほどの歓びなんだけど、ドキッとかいうほど尖ってはなくてむしろふわふわと柔らかいきもちになりつつ、まあちょっとびっくりもしている〉状態をオノマトペ化すると、やっぱりファッ!がいちばん近い。
たとえていうなら、遠くから飼い主の声がするぞ、ってときにワンコの耳がピン!てする、あんな感じで、「ファッ!」ってなる。〈十二時の方向に尾藤!〉って感じの、ファッ!だ。
さらにたとえていうなら、年末の合唱でおなじみの第九。あの歌い出しで、おおよそにおいて恰幅のよいおじさまが「オォ、フローイデ!」て言う。それまでずっとオーケストラが演奏してたのに、当然のようにインストゥルメンタルだったのに、急におじさま歌い出す。あの「フロイデ!」にも似てる。今ちょっと調べちゃったんだけど、フロイデ、てドイツ語で〈歓喜〉という意味らしいので、そうだ、おんなじだ。〈尾藤だ!フロイデだ!〉って感じの、ファッ!だ。

(落ち着け。)
…さて場面は、うるわしのGM会議…の、正確には直前からね。わがフロイデは、今日はとくべつに富永会長(※日本蹴球協会のラスボス)が来てくれたよ!という話をしている。富永会長のお名前を聞くやいなや、GMたちすごい勢いで立ち上がる。…お殿様かよ、とツッコみたくなるところだが、入ってくる富永会長は橋幸夫さんなので、ああほんとだ、お殿様だった、とちょっと納得してしまうなど。

★富永会長挨拶を、後ろに控えて見守る木戸さんについて。
〈にっこにこなのに、ぜんぜん笑ってない〉!
…社会人男性にしか不可能とおもわれる世にも複雑な表情。えー、かわいい。
そしてスーツはピンストライプ。いいなぁ、ほんとうにいいな……。〈清濁あわせ飲んじゃいますよ、ええ、自分大人なんで〉感が服装からもにじみ出ている。大人ぽい尾藤もいい。この場合の〈いい〉は、歌い手バージョンのやんちゃ風スタイルありきでの、あくまでも〈も・いい〉なところが萌えポイントだと個人的にはおもうものである。
そうして富永会長の帰りがけに、小さい声で「ありがとうございました」って言うのだけど、その折りの姿勢と声のサイズ感が絶妙に〈子飼い〉ぽくていい。おとなかわいい。

★ GMたちの間を通り抜ける木戸さんについて。
〈いや待って、待って、もうただひたすらにかわいい〉!
ガッツポーズのような、ガッツポーズではないような。
この際、かわいい尾藤(いや木戸さん)だけではなく、かわいい尾藤(いや木戸さん)を見守る名もなきGMたちの表情にも注目していただきたい。元気いっぱいさわやかにキレイゴトをふりまきながら歩く木戸専務理事に、複雑な表情のアストロズさんとサイクロンズさん。だがしかし、他のGMたちはね、あきらかにね、
→「なにはともあれ、木戸専務理事だいすき。」ってきもちだとおもう。
絶対そう。あのにこにこは絶対そう。清濁あわせのんでないタイプの笑顔。あのひとたちはね、〈専務理事きょうもかわいいな…〉とか〈またあんなふわふわしたこと言って…〉とか思ってる。〈やる気だしてるし…なにそのポーズきゃわかよ…〉とか思ってる。たぶんだけど。ていうか私がGMだったらぜったいそんなかんじのことを思う。きゃわかよ!
この愛され感、このきゃわいがられ感は、最終話の布石になっているのでは、とすら、今となっては思ったりもする。劇的にきゃわなんだもんな。

★ さっきまで元気いっぱいだったのに、君嶋さんがしゃべりだすとあっという間に表情が曇る木戸さんについて。
「あのちょっとめんどくさい子か…」って顔する。「あのちょっとめんどくさいラグビーやったことない子か…」って顔する。すっごくめんどくさそうなんだけど、ただめんどくさいとかただ不本意じゃなくて、「仕方ないですね…ラグビーやったことない子は…ラグビーやったことないんだから…」みたいな諦念みがにじむので、どうしても〈かわいい要素〉がくっついてきてしまう。がっかりとしょんぼりと不機嫌を足して3で割ったのちに、“かわいい”をささっとふりかけた、みたいになっちゃってる。

★ (説明はじめていいですか?という君嶋に)
  無言で“どうぞ”ってやる手がかわいい木戸さんについて。
てのひらを上に向けて、“どうぞ”。木戸さんだけじゃなくて『ノーサイド・ゲーム』内では他の大人男性もときどきする。リアル界ではあんまりみかけないようにおもうんだけど、単に私のまわりにこのタイプの“どうぞ”をする系の社会人がいないっていうだけのことかもしれない。社運をかけた会議とか出たことないしな。
これ、ただの“どうぞ”じゃなくて、“不本意ですが…どうぞ”、なんだよね。“あなたの発言のタイミング等は失礼だと思いますが、私は大人なのでご意見はうかがいますよ…どうぞ”。仕草ひとつと表情だけで、こんなに微妙なニュアンスを伝え合う、ジャパニーズビジネスマンたちのノンバーバルコミュニケーション能力の高さよ。
それにしても、尾藤の“どうぞ”、は、いいなぁ。木戸専務理事って、あらゆる意味で大人っぽい役だよなと思う。よいひとでなく、わるいひとでもなく、立場があって、責任があって、良心があって、保身もあって、愛情もあって、複雑だから、ゆらぎがある。その〈ゆらぎ〉が、人間らしくて、かわいくて、もっと言うと、色っぽいとおもうんだ。ああもう、もう一回叫んでおこう。ピ ン ス ト ラ イ プ…!

さて、専務理事こんなにセクシーだしかわいいんだから、甘やかしてにこにことワールドカップのお話させておけば良いのにとおもうけど、君嶋は持参の資料とか配りはじめ、淡々とドラマを先にすすめる。えらい。心がつよい。
しかも資料、端のひとから順番に配るのな! もうこの段階では、見ている私は気持ち上すっかり体育会系になっているので、〈ちょ、君嶋さん、せめて木戸さんから! 木戸さんから渡してくださいよ、資料!〉とおもうのだったり。

★ 君嶋の説明中、ぶーたれる木戸さんの顔がかわいいので見てほしい。
ただかわいらしくぶーたれてるだけではなくて、君嶋の発言に対して〈そうなんだけど…そうじゃねぇんだよ…〉みたいなね、複雑な心境でいる感じもあって。あらゆる組織を支えているのは、中間管理職の皆さんなのだな、という思いを強くすることができるターン。

★ 「ラグビーはアマチュアのスポーツです」…のくだり。
いろんな方向から尾藤を見られる!ようにしてくださっていることにつき、誰にともなく漠然と多くのひとにたいして〈ありがとうございます!〉みたいな、かつまた〈ごちそうさまです!〉みたいなきもちを抱いた。いやもうほんと、あれって誰かがこまかくカット割りして編集してるのよね…って考えるだけでにやにやしちゃう。うわこの角度かわいいな!とか思ったかしら。プロだから思わないのかしら。

そして出た!大好き!
★「富永会長のご意向ですよ」!
こここんな時代劇みたいなことを言い合っているのかしら、各界のえらい大人たちは。てのはさておき、
これの前まではわりと強く出しているのに、この決めゼリフで語調をちょっとトーンダウンさせるのが好き。言い聞かせるみたいになるのが好き。声の大きさ強さで押し切らないところが好き。これ言えばわかるよね、って感じが好き。それに対して、GMたちがさあっと目を伏せていく感じも好き。ラグビーやったことない子(=君嶋)は当然、〈え、ぜんぜんわかんないですけど…〉なんだけれど、周囲を見渡して、〈あーみんなわかっちゃってるのか…〉てなる感じも好き。
関係者以外には〈誰だよ〉なのに、関係者には〈ご意向〉。イイ。いる、そういうひといる。狭い世界になればなるほど、〈誰だよ〉感も〈ご意向〉感も濃くなったりする。あはは、いるわ。いるな。いやそれはいいんだけど。
さらにどうでもいい話をすると、このセリフが好きすぎて、しばらくのあいだ日常生活において、ことあるごとに「富永会長のご意向ですよ?」って言ってみてたけど、誰も言うことを聞いてはくれなかった。あたりまえ。

■ 専務理事のおへや。
6話後半、君嶋・木戸専務理事のお部屋に直談判にゆくの巻。極個人的には『ノーサイド・ゲーム』いち好きな巻だ。いや巻ではないかもしれない。
君嶋vs木戸専務理事。マンツーマンなだけに、気をぬくと(あ、ちょっと君嶋さん、そんなに強く言わなくても…)てなる。(いや、それはちょっと言い過ぎじゃ…)(言い方…)(ご意向…)てなる。あげく、〈主人公だからって何してもいいとおもうなよ…!〉ってまちがったキレ方をしそうになる木戸専務理事至上主義視聴者。
だいじょうぶ、わかってる。これをやっておかなければ、最終回を迎えられないのはわかってる。それにしても、

〈こんなかわいいものを前にして、よくそれほど正論ばかり述べられるな、君嶋…!〉

ていうか、応接セットにさしむかい、うらやましい。なんのご褒美なのそれ? 前世でどんな善いおこないをしたの、君嶋??

★ やっぱり声から入る。
GM会議じゃないのに、専務理事のお部屋なのに、胡蝶蘭とお部屋のドアとか映しておいて安定の〈まずは声から〉登場なので、とりいそぎ「ファッ!」とはなる。フロイデ。ここは君嶋個人と話しているマイルドめの声音なため、小さい「ファッ!」ですむものの、話し始めの「あ、」が好きだな!とかついつい思ってしまう木戸専務理事至上主義視聴者としては、萌える萌えないで言えば、断然に萌える。

★扁額には「質実剛健」。…ぽい。ものすごく、ぽい。
 
君嶋の言葉を、基本ちょっと苦めの顔で聞いている木戸専務理事。なんだけど、「ラグビーは金儲けではありませんから」って言うときだけ、ちょっとほほえむ。笑ってるかな、笑ってないかな、っていうくらいのかすかーな笑顔なんだけど、それがまたかわいい。

★ 「能書き……!?」って、君嶋の言葉を繰り返す木戸専務理事について。
よく見ると、
〈唇がふるふると震えてる。…のが、かわいい!かわいい!〉
からの、出ました、だめ押しの「富永会長のご意向ですよ!」なんだけどね、あっ木戸さん、あぶない、逃げて逃げて! その子ラグビーやったことないから! ご意向とかちょっとわかんないみたいだから!

★…案の定、「それがどうしたっていうんですか」とか言われる。驚く。かわいい。

さらにおいうちのように、君嶋の〈ラグビー好きじゃないんで〉発言を受けて、

【木 戸 専 務 理 事 、 今 日 い ち 驚 く 。】

リアクション的には、ぴく、っとする程度なんだけど、その控えめな驚きの表出が、あー、めっちゃ驚いてる…言葉が出ないほど驚いてる…て感じで、いい。
〈えっ、この世にラグビーが好きじゃない子なんているの?〉って思ってる、きっと思ってる。
ひるがえって、こちらとしましてはですね、〈そんなに好きか、ラグビーが!〉って、木戸専務理事に対するいとおしさが大爆発したシーンでもある。こんなにもラグビー中心に世界がまわってるひとの見てる景色は、狭いと言えば狭いのかもしれないけれど、きっとすごく美しいんだろうな、とおもう。そんな風におもえるものがあったらいいな、ともおもう。〈えっ、この世にラグビーが好きじゃない子なんているの?〉
…あ、この世に尾藤イサオが好きじゃない子なんているの?ていうのは、ちょっと思うかな。

★「か、か、化石!?」で、ふたたびいろんな角度から尾藤を見せてくれる件について。
…ありがとうございます、誰か!!(五体投地。)

★ (立ち上がった君嶋を)“見上げる”木戸専務理事がかわいいので見てほしい。

見上げる先には、〈あなた方が変わるまで何度でも来ます!宣言〉をする君嶋。
木戸専務理事至上主義視聴者としてはもはや、〈え、その権利うらやましいんですけど?〉としか思えない。が、万が一その権利を譲渡されたとすると、(あなた方が変わるまで来る)=(変わらないでいてくれる限り永遠に来てもいい)=(応接セットに差し向かいで、おそろいのカップでお茶を飲み、ふたりきりでお話してもいい)ということになり、そんなん自分だったらぜったい手加減する。いちおう話題には出してみるけど、説得する気はないですよ?くらいの内容のぼやぼやした企画書を持参する。この上なく話がすすまない。やっぱ君嶋じゃないと。君嶋くらいの心のつよさがないと。

君嶋うらやましい問題で言えば、襟元のアレね、プラチナリーグのものとおもわれるバッジね。
…おそろかよ!
いや、君嶋だけじゃないけど。あれGMにならないともらえないやつかな。ほんとほしい。

★ 最後になりましたが、
専務理事のお部屋ターンでは、ネクタイ(三色切り替え、たぶん3話と同じ柄だと思う)の結び目部分にシルバーが来ているため、全体として寒色系に見え、それが尾藤のグレイヘア/ふんわりオールバック(いやほんとに、前髪あがってるの好き。)に映えて、大人かっこいいのだった。


こんなにもアストロズやトキワ自動車について触れない感想文でよいのだろうか。浜畑とか七尾とか一回も書いてないけどいいのだろうか(いま書いたが)。と言いつつ、とにもかくにも尾藤愛を語る、という眼目に忠実に、怒涛の7・8・9話とか完全にすっとばして、次は最終回の話をするつもり。いいとおもう。
実のところ、尾藤をだいだいだいだいだい好きな気持ちには遠く及ばないにせよ、尾藤をだいすきな自分のことも、ちょっと好きだ。

…この世に尾藤をおくりだしてくれた神さまぽい何かに深甚なる感謝をささげつつ、第6話の感想を終わります。フロイデ!


(ラグビーの写真)<a href="https://pixabay.com/ja/users/wantie-8337723/?utm_source=link-attribution&amp;utm_medium=referral&amp;utm_campaign=image&amp;utm_content=3718779">Paul Want</a>による<a href="https://pixabay.com/ja/?utm_source=link-attribution&amp;utm_medium=referral&amp;utm_campaign=image&amp;utm_content=3718779">Pixabay</a>からの画像





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