助けてもらう事。お願いすることの大切さ。利用者さんとの食事、片付け。
利用者さんと3人で昼ご飯を食べた。
正確に言うと私が検食を利用者さんと一緒に食べた。
〝検食〟
事前に試食を行う。
異物混入、異臭などがないかなどを確認するものらしい。
私の働いている施設では朝、昼、晩のレシピがあり、スタッフが交代で食事を作っている。
食材から調理をしていく。
温かくて美味しい。
今日の利用者は9人。
皆さん静かに昼食を食べていた。
私はときどき利用者さんに話しかける。
食べることが大好きなKさん。
「美味しいですか?」
と話しかける。
「おいしいね。ありがとう」
私の子供の頃は家族みんな揃って
食事をするのが当たり前だった。
会話しながらご飯を頂く。
家族団欒。
憩いの時間と場所。
いつの間にか無くなってしまった。
利用者さん達は普段家ではどういう風に食事をしているのだろうか?
私の目の前にHさんがいた。
アルツハイマーということだけは知っている。実際のところ、アルツハイマーという病気がどういうものかまだ詳しく私は知らない。
私とKさんの食事とは異なり、
嚙む力、嚥下の問題なのか?
Hさんの食事はすべてミキサーにかけられている。
今日のメニュー。
焼きそば、おにぎり、さといも、卵の味噌汁。
今日のメインは〝焼きそば〟
Hさんの焼きそば。
茶色いすり下ろされた物体になっている。
「今日は焼きそばなんですよ」
私が話しかける。
反応はないが笑顔で食べていた。
Hさんはすべて完食された。
食事が終わった後は後片付けがある。
検食を食べ終えた私は利用者さんの様子を見ながら食器、調理器具を洗った。
いつも食器を拭くのを手伝ってくれるOさんに声を掛けた。
一緒に食事をしたKさんにも声を掛ける。
2人とも「いいよ」
快くお手伝いをしてくれる。
同じテーブルにいたHさんにも声を掛けてみた。笑顔になる。
「Hさんもお願いできますか?」
タオルを渡すと一緒に手伝ってくれた。
男性だからアルツハイマーだから。
私の思い込みだった。
先入観、思い込みはいけない。
Oさん、Kさん、Hさん3人で食器を綺麗に拭いてくれた。
比較的若い利用者もう一人のHさん
「わたしも手伝いますか?」
「拭いてくれたものを棚に戻して頂いてもいいですか?」
私を含めて5人で作業をした。
独りでも出来ることだが利用者さんを巻き込んだ。
みんなでやることでスピードも速くなる。
私の仕事も楽になり、とても助かった。
終わった後、一人一人の名前を呼び
手伝ってもらえたことに感謝した。
心から「ありがとう」を伝えた。
やりたくないとき、気が乗らないときは無理しなくていい。
やりたい人がやりたいをやれる場所。
声を出して助けを求めること。
お願いすることの大切さを教えてもらった。