page 5 キミノ破片
it's the story 神島 蓮
マウスでクリックして出た虹のカケラは
ブログに書かれた「詩」のようだった
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塗り残したスケッチ
夕暮れの校舎
飛行機雲
自転車
・
文面を見つめて想いを馳せる
これって…
あの頃見ていた風景にあまりにも
近くて心を離せなくなった。
一行ずつ追いかけるその景色は
確かに生きた時間を記すアルバムのように
情景を鮮明に蘇らせ
メロディーの無い歌が鼓動を早める
汗をかいたビールの缶から
水滴が瑞々しくつたう
・
誰が書いた文章なんだろう
ブログのトップページへ飛ぶと
「Time」とタイトルが出てきた
ページにはささやかな風景の写真ばかりで
唯一文字が綴られているのは
「夢のカケラ」
とタイトルの付いた詩だけだった。
織姫の名で掲載されている彼女のページは
写真ばかりが永遠に綴られた空間で
言葉は無いのにそれはまるで
彼女を形作っているようだった。
どんな人柄で
どんな手触りの…
そんな情報が丸ごと見える錯覚を覚えた。
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〈5〉