page 2 カ・ケ・ヒ・キ
it's story of the Mr.神島 蓮
この会社に入社してもう7年になるのか
パソコンのキーボードを打ちながら
自分を緩めるように息を吐いた。
ネクタイ結ぶのが上手くなって
人との距離も
上手く取れるようになった。
・
「神島さん、今夜ってご予定有りますか?」
・
振り向いた先の瞳に目を向けた
神島 穂花
小柄で可愛い雰囲気の神島は
新卒で入社して来た途端
一気にアイドル的なポジションに君臨
ひそかに狙っている社員も少なくないと
噂で聞いた。
神島 蓮
神島 穂花
偶然に同じ苗字だったので
神島が入社して来た当時親戚なんじゃ
ないかと上司から聞かれたが、
全くそういう訳ではない。
「結婚しても苗字変わりませんね♡」
物凄くハンター歴の有りそうな
彼女の言葉に少し恐怖を覚えてしまう俺は
変わってるのかもしれない。
「今夜?」
「私達、今夜食事に行こうと思って
いるんですけど良かったら一緒に
どうかなと思いまして…」
「今夜は予定が有るんだ」
えー
「神島さんいつもそう言って
付き合ってくれないじゃない
たまには付き合って下さいよ」
手慣れた上目遣いに形のいい唇を尖らせる
綺麗だし…まぁ可愛いとも思う
後ろから木下が「しつこく誘うと迷惑だよ」
と小さく呟いて頬を染める様子にさえ
小さな計算的セリフに聞こえてしまう
「ごめん。
またの機会に」
「えー…」
他を当たった方が近道だ
その顔と仕草で落とせる男は
いくらでも居るだろ?
「悪い お疲れ様」 「ぁ///…」
作り笑顔で思わせぶりに立ち去るやり方
我ながらよくやるなと思う
時間に縛られる生き方は
ネクタイ結んでる間だけって決めてる
この窮屈さも嫌いじゃない
そのスカートから覗く見え見え感も
嫌いじゃない。
〈2〉