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 page8 夕闇のニュース

     
it's story of the Mr. 八木 快
     

      「マジで言ってんの
        それ!」

 iPhone片手にビールに口をつけてたら
 蓮のあまりに驚きの内容に衝撃を受けて
     吹き出しそうになった。

     「デカいんだよ声が」 
    
      「ちょっと待て!
        早まるな!
    お願いだから一回考えよう」

      「蓮、いいか、
 ブログで繋がった相手と実際に会うなんて
  そんな出会い系サイトみたいな会い方」
   
  「その考え方は今時古いだろ
      落ちつけ、快
   そんなんじゃないんだって」

  
   「蓮、お前 大丈夫か?」 

「実際問題自分でも大丈夫か自信が無いから
 こうやって快に話をしてるんだと思う」

        ハァ

   「 “思う” って… 」

 蓮、それさ…寂しいって事なんじゃないか
 わざわざそんな出会いを求めなくても
  お前の場合、女に不自由しないだろ

       「で?」

  蓮は一度何かを決めたら何を言っても
 聞き入れないっていう事はよく知ってる

     「どこで会うの」

 「花火大会に一緒に行けたらって
    やりとりをしてる段階」

  ほぼ相談なんてしてこないヤツだから
  電話して来るって事は相当悩んでる

     「やりとりって?」

     「ラインのやり取り」

     「は⁈、ライン?」
    
  まさかメッセージのやり取りなんじゃ
 
    「まさかまだ話してない?」

    「実際の会話は まだかな」

        「‼︎」


     ちょっと待ってくれ
     
  
IT化が進んでzoomをはじめ
  様々なコミニュケーションツールが
   一般化してるこの現代に?
    そんな文通みたいなやり方で?
      謎のブログ女と会う?
       経験値の無い蓮が?

             

        
        ・・・

   「おーい、快ー、聞いてるか?」

  「ごめん。驚き過ぎてフリーズしてた」


     やっぱり蓮はまだ
 ショックから立ち直ってないんだと思う

  汐音さんが亡くなって7年も経つから
  そろそろ傷は癒えているんだと思って
       油断してた。

 蓮の時間はあの頃のままストップしてて、
   まだ動き始めてなかったんだと
    たった今理解した気がする。

  向こうから声をかけられて
   遇らうパターンには慣れていても
  こっちから近づいて
  コミニュケーション取るなんて
  蓮にそんな事出来るのか未知すぎる

「蓮、待ち合わせ場所まで一緒に行う!」

「ちょっと面白そうとか思ってるんだろ」

      そんなんじゃないよ
   「報酬は露天のカキ氷でいいよ」

    「まずは実際に話してみろよ」

      
      「快、ありがとな」

   「何だよ急に。気持ち悪いな」

それって汐音さんの事を色々聞かない事への
     「ありがとう」なのか?

   そんなに切ない笑い方するな


  「焼き鳥に生ジョッキも付けろよ」

         
        〈8〉 

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