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it's story of the Miss 梛木 心羽
夏の夜の風には
少し切なさが混ざっている
窓から入る風が髪を揺らして
息をするとスッと入って来る
そんなblueな想いをそっと受け止める
部屋の照明は暗いのが好き
理由は月の明かりが優しいから
今夜も
パソコンのページに画像を載せる
カタッ
ブログにメッセージを下さる方が居て
その人の言葉に独特の優しさを感じて
いつも気になっていた。
頻繁にやり取りするうちに
私と似ている所をいくつも発見して
勝手なんだけどいつの間にか
友達みたいに感じてしまって・・・
ある日花火大会が有りますよね
ってメッセージをしたら
・
「 一緒に行きませんか? 」
・
と、衝撃的な返事が来た。
本当にビックリしたけど、
「 私も一緒に行きたいです 」
って、即座にメッセージした自分に
もっとビックリしてしまった。
こんな積極的な自分も居たんだと
自分の奥底に潜む見えない扉を
見つけたような感覚になった。
どんな人なんだろう・・・
見てみたい
会ってみたい
話してみたい
そんな事を思い出しながら
ローテーブルに置いた丸い照明を
満月みたいにホンワリ灯す。
ふいに
隣に置いてあるiPhoneがパッと
光を放った
……………………………………
こんばんは。
確かに今日は本当に暑かったね
所で、
今電話なんてしても大丈夫?
………………………………………
「 えっ! 」
ドキッと
胸を撃つ鼓動に気を取られていたら
2つ目のメッセージが送られて来た。
………………………………………
花火大会も近づいて来たし
待ち合わせ場所とかも
直接話して決めたいなと思って
………………………………………
そうだよね
お会いするって決めたんだから
色々話しておいた方がいいに決まってる。
突然今っていう流れに戸惑ってるけど
神島さんも
きっと勇気を出して提案してくれたと
思うから
ここはしっかりご挨拶しておかなきゃ
………………………………………
私も神島さんとお話してみたい
(とっても緊張するけど)
………………………………………
少しだけ震える指先で文字を打つ
すぐに既読になる文字にドキドキする
“会話が上手くないのですが”
慌てて
補足の文章をトントン打ち込んでたら
途中でiPhoneの画面が真っ暗になった。
˚✧₊⁎ ♪ ♪ ⁎⁺˳✧༚
LINE通話の着信音がキラキラ流れ出す
わわわわわわっ
どうしよう かかってきちゃった!
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