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第二回:(前編)なぜ企業はマイクロフロントエンドに注目しているのか

「新しい機能を追加したいけど、既存のコードを触るのが怖い...」
「チームが増えて、開発のスピードが逆に遅くなってきた...」
「若手エンジニアが新しい技術を使いたがるけど、既存システムが足かせになっている...」

こんな悩みを抱えている企業が、最近マイクロフロントエンドに注目しています。今回は、その理由と効果を、実際の事例を交えながら見ていきましょう。

企業が抱える3つの痛み

1. レガシーシステムという重荷

太郎さんが所属する企業では、5年前に作った管理画面が今も現役で動いています。当時はReactの黎明期。今となってはちょっと古い書き方のコードが、たくさん残っています。

「新しい機能を追加してほしい」
「UIをもっとモダンにしてほしい」
「スマホからも使えるようにしてほしい」

要望は次々と来るのですが...

  • 古いコードを修正すると他の機能に影響が出そう

  • 新しいライブラリを入れたいけど、既存のコードと相性が悪い

  • コードが複雑すぎて、新メンバーの教育に時間がかかる

2. 開発スピードの低下

花子さんの会社では、フロントエンド開発チームが3チームに増えました。しかし、チームが増えた分、逆に開発が遅くなってしまいました。

理由は様々です

  • チームA「自分たちの機能は終わったけど、Bチームの作業が終わるまでリリースできない」

  • チームB「Cチームが作ったコードと自分たちのコードが競合して動かない」

  • チームC「全体のテストに時間がかかりすぎて、小さな修正でも時間がかかる」

3. 人材の課題

「最新のフレームワークを使いたい!」
「型安全な開発がしたい!」
「もっとモダンな開発がしたい!」

若手エンジニアからのこういった声に、なかなか応えられません。
その結果

  • モチベーションの低下

  • 技術的な成長機会の不足

  • 新しい人材の採用の難しさ

マイクロフロントエンドによる解決

これらの課題に対して、マイクロフロントエンドは以下のような解決策を提供します。

1. 段階的な刷新が可能に

Before(一括刷新):
古いシステム → 【長期の開発期間】 → 新システム
                リスクが高い!

After(段階的刷新):
機能A → 新システムA
機能B → そのまま
機能C → 新システムC

一度に全てを作り直す必要がありません。
リスクを抑えながら、少しずつモダン化できます。

2. チームの独立性が高まる

各チームが独自に

  • 技術選択ができる(ReactでもVueでも!)

  • リリースのタイミングを決められる

  • テスト・デプロイができる

3. 技術的なメリット

  • 新しい技術を試しやすい

  • 機能ごとに最適な技術が選べる

  • 部分的な改善が容易

導入効果の事例

ある中規模企業では、マイクロフロントエンド導入後

  • リリース頻度が2倍に

  • 障害の影響範囲が局所化

  • 新人の立ち上がりが早く

より詳細な導入事例については、後編で様々な業界の具体例を見ていきます。

【次回に続く】

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