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Orange Juice / The Orange Juice (1984)

オレンジ・ジュースのセルフ・タイトルによるサード・アルバムは、バンドにとって最後のアルバムとなった。

この時点でバンド・メンバーとしては、フロントマンのエドウィン・コリンズとドラマーのジーク・マニーカの2人体制ながら、スコティッシュ・ポップの哀切とメランコリーを含んだメロディを、R&Bやソウルやファンクに基づいた”黒い”グルーヴと洗練されたバンド・サウンドで鳴らす、完成度の高いレコードとなっている。

脱力感と緊張感を行き来するエドウィン独特の浮世離れした歌いっぷりも安定しており、バンド解散〜ソロ・デビューへ向け準備万全といったところか。

ギターの残響が80年代的に淡く儚く寂しげに広がるのも心地良い。






これまでに3作取り上げていたオレンジ・ジュースの締めにあたるセルフ・タイトル・アルバム。

ちなみに過去作は以下のとおり。せっかくなので貼っておこう。

同じ1984年に本作に先んじてリリースされたミニ・アルバムで研ぎ澄まされたサウンドは、解散を前にした本作では緊張感は些か和らぎ、穏やかにすら感じられる音になっている。

本作の時点でメンバーは2人だけとなっていたわけだが、さらにドラムスのジークはすでにソロ活動へと舵を切っており、エドウィンも(「オレンジ・ジュース」の看板の有無は別にして)今後一人でやっていくことを想定していたようで、だからこそこの達観めいた柔和さなのかもしれない。

瓦解していくバンドの緊張感に満ちた(ある種悲劇的な)作品の中に宿る最後の光のようなものももちろん美しいのだが、こういうゆったりとした最後もまた乙なものです。

しかし、エドウィン・コリンズのソロ・デビュー・アルバムまでは5年近く待つことになるのです。

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