Tribes / Wish to Scream (2013)
ロンドン・カムデン出身のインディ・ロック・バンド、トライブスの2作目にして解散前最後のアルバム。
ザ・ブラック・キーズも手掛けたプロデューサーの下、LAでのレコーディングによって、開放的でアーシーなロックを鳴らしている。
元来の英国風味たっぷりのメロディ・センスと、カントリー~ブルース~フォーク・ロックを取り入れたアメリカン・スタイルの共存によって、一時期のストーンズやプライマル・スクリームとまではいかなくとも、アメリカ仕込みの新たなサウンドを獲得。
甘美なメロディが詰まった楽曲の連打でやや食傷気味になるきらいもあるが、それでもフロントマンであるジョニー・ロイドのメロディ・メイカーぶりは見事。
本作は彼らのその後の方向性として期待されたが、この年の暮れに解散してしまった。
時代の流行に流されず、愚直に「良い音楽」を追い求めていた良質なバンドだっただけに惜しまれる。
が、10年のときを越えて今年復活予定。
もはや誰も追っていないんだろうな、このバンド。
デビュー作こそ「UKギター・ロック×グランジ」と評された音楽性で、ロッキング・オンでも取り上げられていたけれど、翌年リリースの本作はほとんどどこにも取り上げられなかったように記憶している。
1作目でタイトルともども英国らしく珠玉のメロディを最も輝かせていた”Corner of an English Field”に続き、本作でも”Englishman on Sunset Boulevard”という、まさにレコーディング時の自身の状況を記したような楽曲で、どこか懐かしく、こそばゆいくらいに美しいメロディが聴ける。
それ以外にもボーナストラック込みの16曲55分のそこかしこに美メロが詰まった、ジャケットのとおりアメリカンでアーシーでノスタルジックに虹色に輝く好盤。
今年出るらしい復活作にも期待。