Grizzly Bear / Horn of Plenty (2004)
2000年代USインディ・ロックのいわゆる”ブルックリン勢”の代表格、グリズリー・ベアのファースト・アルバム。
中心人物であるエドワード・ドロステのソロ・アルバムに近い作品であり、アコースティックを中心としたいかにも宅録っぽい親密でくぐもったサウンドに、アニマル・コレクティヴにも通ずるプリミティヴでトライバルな感触や陰のあるサイケ感が入り混じる。
ジャケット同様、素描の中にどこか薄気味悪さや不穏な空気が漂うようなサウンドだが、時折その隙間に美しいメロディが立ち、ソングライターとしての唄心をたしかに感じさせる。
派手さこそなくともしっかりと地歩を固めた本作は、その後実験性を増したとて音楽としての美しさや絶妙な均衡を決して失わないグリズリー・ベアらしさの礎となっている。
僕が持っているCDは本編と翌年リリースのリミックス盤の2枚組で、さっきAmazonで見たら中古で結構な高値となっていることを知った。
僕が中古で買ったときは大した値段じゃなかった気がする。
まあそれはそれとして、お堅いイメージもあるグリズリー・ベアだが、このデビュー作はアニマル・コレクティヴやボン・イヴェールあたりと共鳴するような繊細さや心地良いローファイさがあって結構好き。
そして次作以降実験性とともにどんどん洗練されていく。