Dave Matthews Band / Under the Table and Dreaming (1994)
90年代以降のアメリカン・ロック・バンドの中でも特にライヴ・バンドとして最大級の人気を誇るデイヴ・マシューズ・バンド。
600万枚という驚異的なセールスを記録したこのファースト・アルバムは、かのスティーヴ・リリーホワイトのプロデュースの下、多様性に富んだ音楽性と、完成度・安定感抜群のバンド・サウンドが聴ける。
アコースティック・ギターにベース、ドラムス、さらにはサックスとフルート、ヴァイオリンも加わった特殊かつ多様なバンド編成で、ロック/ジャズ/ブルース/フォーク/ソウル/R&B/カントリー/ファンク・・・つまりアメリカン・ロックの全てを混ぜ込んで融合させ、デイヴ・マシューズの巧みなソングライティングや手練のリズム・セクション、ジャズ・バンド的な即興演奏によって、アメリカン・ロックの真髄を体現している。
ジャズやワールド・ミュージックの影響が色濃いことからもスティングを彷彿させる部分があり、さらにデイヴのヴォーカルもスティングやエディ・ヴェダーのようで、力強く熱い歌唱でメロディを引っ張っている。
南アフリカで生まれ育ち、アメリカで音楽を始め、ジャズ・クラブで仲間と出会い腕を磨いたデイヴ・マシューズの出自がよく表れた入魂のレコードは、彼の亡き姉に捧げられている。
3作目から7作連続で全米チャート1位という不動の人気を誇るDMB。
おそらく典型的な”Small in Japan”のバンドだと思われる。
本作におけるメロディやリズムや音は、アメリカ人に遺伝子レべルで響いてくるのかもしれない。
黄昏時のハイウェイをネオン・サインを遠目に見ながらドライブする時にぴったりの音楽だと思う。
様々なロックの名盤が登場した1994年、オーセンティックな風格を持った本作もまた、骨太な名盤として30年の時を経てもなお変わらぬ魅力を保っている。
(アルバム全体の尺がやや長いのが玉に瑕だけど)