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('68) Randy Newman / Randy Newman
独特で斬新なソングライティングで、後続に多大な影響を与えてきたランディ・ニューマンのデビュー・アルバム。
映画音楽界の大物を伯父・叔父に持ち、ハリウッドで育った彼は、幼馴染であり、後にワーナーのトップとなるレニー・ワロンカーに見出され、ヴァン・ダイク・パークスに通ずるオーケストラを取り入れたスタイルで、1作目にして早くも独自の世界観を築き上げている。
皮肉と諧謔、風刺と哀愁に満ちた詞は諦念を抱えた巷の人々をユーモラスに描き出し、2分強の各曲の中を群像劇が連作短編のように続いていく。
全11曲でわずか28分の中にこれだけの物語性を持ち込める彼のたしかな才能は、ディランやスプリングスティーンにも匹敵するものがあり、紛れもなくアメリカを代表するソングライターの一人である。
飲み過ぎた翌日、気怠い週末の朝。晴れ間の後のぐずついた天気。ランディ・ニューマンがよく合う。
雨をモチーフに詩的な表現が印象的な”I Think It's Going To Rain Today”あたりは名曲。シンプルな中に豊かな表現が静かに込められた傑作です。