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The Ronettes / Presenting The Fabulous Ronettes (1964)

ヴェロニカ・ベネット(後のロニー・スペクター)を中心に、その姉エステル・ベネットと従妹ネドラ・タリーによる3人組ガールズ・ポップ・グループ、ザ・ロネッツのデビュー作にして唯一のスタジオ・アルバム。

歴史的名曲でありポップ・ソングの原点ともいえる”Be My Baby”をはじめとするエヴァーグリーンなシュガー・ポップスが並ぶ、捨て曲なしの12曲36分。

当時まだ25歳だった御大フィル・スペクターがプロデューサーを務め、名匠ジャック・ニッチェがアレンジを担当した本作は、軽やかで抜けが良く、また同時に濃密で音圧の強いサウンドが広がる、ウォール・オブ・サウンドのマスターピース。

オープニングの”Walking In The Rain”での雨の音や"What'd I Say"(レイ・チャールズのカヴァー)のロック風のライヴ感、B面前半の"Baby3部作”(いずれも名曲!)、"How Does It Feel ?"や"When I Saw You"での映画音楽風の壮麗なストリングスなど、随所にフィルのこだわりが感じられる。

フィルを筆頭にプロのソングライター(いわゆる職業作曲家)達が書いた磨き抜かれたポップ・ソングにヴェロニカ(ロニー)の魅力的な歌声と鮮やかなコーラス・ワークが命を吹き込む。

ビーチ・ボーイズやラモーンズをはじめとする多くのロック・ミュージシャンやロック・リスナーからも愛される、ポップ・アルバムのお手本にして最高峰。







60年代のガールズ・グループとしては、モータウンからのザ・スプリームスも素晴らしいけど、このザ・ロネッツも堪らなく好き。
本作のエヴァーグリーンな輝きにはどうやったって抗えない。
ロネッツの"Be My Baby"(とビーチ・ボーイズのアンサー・ソングともいえる"Don't Worry Baby")は史上最高のポップ・ソングの一つだと思う。

シュガー・ポップな珠玉の名曲が詰まっている名盤だが、ただ甘いだけでなくほろ苦さや哀愁も忘れない。
フィルの音作りとメロディへのこだわりとロニーの魅惑のヴォーカルを核とした、全体的にプロフェッショナルな作りになっているところがまた素晴らしい。

ロネッツのオリジナル作品としてはこの1枚、わずか12曲36分でおしまい。
でも何度も聴けて、そのたびうっとりと聴き惚れる、不朽の名作です。

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