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The Clash / London Calling (1979)

パンクがその行く末に迷い出した1970年代終盤、来たる80年代に向けた大きな希望でありその後のロック・ミュージックにおける重要な指針/基準点となったのが、ザ・クラッシュの3作目にしてロック史に燦然と輝き続ける金字塔「ロンドン・コーリング」。

いわゆるパンク的な音は本作の多彩な音楽性の一つの要素でしかないが、パンクスとしての鋭いエッジと太い芯は新しい音楽に突き進む姿勢にこそ最も表れており、パブ・ロック、ロカビリー、リズム&ブルース、ジャズ、レゲエ、スカetc…を柔軟に貪欲に消化し、それが最高級のポップ・ソング/ロック・アンセムとして昇華されており、2枚組全19曲のどこを取っても捨て曲なし。

ジョー・ストラマーのカリスマティックなシンガーとしての佇まいは自信と確信に満ち、レイ・デイヴィスやスプリングスティーンばりのストーリーテリングを聴かせ、”ポップ・サイド”の曲におけるミック・ジョーンズのヴォーカルもストーンズでのキース・リチャーズさながらに心地良い。
演奏もパンク・バンドの域を超えてすでに純然たるロック・バンドのそれになっていて、ポール・シムノンのベースは歌いまくってるし、トッパー・ヒードンのドラムスは全体のテンションを保ち続けている。

パンクの精神もロック・バンドとしての矜恃もブリティッシュ・ロックの伝統もレベル・ミュージックとしての覚悟も背負った上での、これ以上ない”完璧”なロック・アルバム。






2024年の記事はたぶんこれで最後かな。

45年前の12月にリリースされた、ポール・シムノンがベースを叩きつける姿をプレスリーのデビュー・アルバム調のロゴで囲ったジャケットも最高にクールな、クラッシュの最高傑作にして歴史的名盤。

何度聴いても、全19曲の中に駄曲が一つもないんだよなぁ。
A〜D各面の1曲目が全部最高のロック・チューンの時点で勝負あり。その後もポップだったりロッキンだったりソウルフルだったりしながら、アルバムの中で多様性とポップ・ミュージックとしての魅力とロック・アルバムとしての強度と文学性を次々と体現していく曲の強さは本当に凄い。
一気に聴けちゃうのはたぶん全体を一つのテンションで駆け抜けているからなんだと思う。

ホントは1曲ずつ順に書いていきたいくらいなんだけど、年末で時間もないもので、今日は総覧した簡易版ということで。

いわゆる「無人島に持って行く1枚」の最有力候補(2枚組だけど)。

69年の「アビー・ロード」と79年の「ロンドン・コーリング」と89年の「ストーン・ローゼズ」の3枚があれば、しばらくは生きていられる気がする。



ってなわけで今年は以上。
見返してないけど、たぶん今年は1年通して音楽の話だけに終始した気がする。

どうも小説とか映画とか、ストーリーがあるものについて書くのは苦手で(同じ理由で歌詞の詳細について書くのも苦手)、結果的に音楽だけになったけど、これが今の僕にとって一番無理なく楽しく(そして少しの心地良い制約の下で)書けるものだから、飽きるまではこのままでいこう。

今日みたいにロックの名盤を聴いていると、生きてるって感じがする。

来年も気負わずに最低週1回ぐらいのペースで細々と(たまに太々と)書いていけたらなと思っております。

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