Lana Del Rey / Ultraviolence (2014)
ラナ・デル・レイのセカンド・アルバムは、全米・全英チャートともに1位を獲得するなど大きな評価を得るとともに、アーティストとしても深化を刻んだ意欲作。
ブラック・キーズのダン・オーバックをメイン・プロデューサーに迎え、本人曰く「前作よりも削ぎ落とされてシネマティックでダーク」という本作は、デビュー作でのややチープなレトロさや軽薄さは抑え、貫禄すら感じさせるクラシックさと重厚でどっしりとしたサウンドが印象的。全編を通してスロウ〜ミドル・テンポで統一されているのも心地良い。
西海岸やポップ・カルチャーの光と影、美と狂騒と頽廃を、オーセンティックでヴィンテージなロックンロール/ソウル/ジャズ、ブルージーでサイケデリックなギターの音処理によって鮮やかに艶やかに描き出し、ダウナーで危うい色気を含んだ気怠げな歌声も相まって、彼女独自の美学と物語性、演劇性、アーティスト性にフォーカスした作品に仕上がっている。
全体を通してシンガー・ソングライターとしてのリジー・グラントが、ラナ・デル・レイというペルソナを”女優”として演じ、歌い上げているイメージ。
ハイプから始まったような、というかそれをも逆手に取ったような鮮烈なデビューを飾ったラナ・デル・レイ。
賛否両論渦巻いたデビュー作から2年。
このセカンド・アルバムは、ダウナー/ダーク/サイケデリック/ブルージーな路線に的を絞ることで、ペルソナとしてのコンセプトの強さを証明する1枚となった。やはりこういうアンニュイで頽廃的な雰囲気は魅力的。わかっていて騙される感じ。
ダン・オーバックのプロデュースによるギターを中心としたどっしりとしたグルーヴとヴィンテージ感を持ったロック・サウンドが凄く良いし、彼女の作風によく合っている。