Volcano Choir / Unmap (2009)
ボン・イヴェール名義でリリースした前年のファースト・アルバムで予想外のブレイクを果たしたジャスティン・ヴァーノンが、同郷で旧知のポスト・ロック・バンド「Collections Of Colonies Of Bees」と合流し結成した新バンド、ヴォルケーノ・クワイア名義で制作したデビュー・アルバム。
ときにアニマル・コレクティヴを思わせる有機的に明滅するエレクトロ・ビートやアンビエントな雰囲気を基調としたポスト・ロックの音色に、ジャスティンのフォークやゴスペルやソウルを含んだ幽玄で繊細なヴォーカルが溶け合い、実験的でジャンルレスな内容ながら、不思議と聴きやすい音になっている。
ボン・イヴェールの1作目は冬の間ジャスティンが山小屋に篭り一人で作り上げた孤独の結晶のような傑作だったが、本作もアンビエント/ポスト・ロックの中を揺蕩うように歌うジャスティンの声が印象的で、雪に閉ざされて佇む”誰か/何か”というジャケットの構図が象徴するように”自然の中に屹立する個”が音に刻まれている気がする。
僕が住む街もここ数日で雪が降り積もりかけている。
年末に向かう時期だけに、どことなく厳かな気持ちにもなってくる。
となると聴きたくなるのは、静寂と寂寥と荘厳が詰まった作品。ってことでジャケットも冬に相応しいジャスティン・ヴァーノン率いる「火山の聖歌隊」。
冬の朝にコーヒー片手に聴いていると、心身ともに暖まる。
アノニマスでアンビエントな雰囲気がありながら、中身は凄く有機的で暖かく、ジャスティンの記名性の高い声が、透徹した響きを聴かせる逸品。
10年近く使い続けたCDコンポのCDプレイヤー部分が壊れてディスクを読み込まなくなり、でもUSB経由なら聴けたので、ここ1ヶ月ぐらいはiPhoneやiPodに入れた音源をコンポに繋げて聴いていた。これが凄く不便で、端末に入っていない音源を聴きたい場合はPCのiTunesから移さなきゃいけないし、iTunesにも入っていないCDはPCへの取り込みから始めなきゃいけないし、げんなりしながら過ごしていた。
これを機に一部屋を陣取るぐらいに嵩張るCDなど手放してサブスクリプション移行か…とほんの一瞬考えたけど、やっぱり目の前のCDアルバムを開いてディスクを入れてブックレットや詞を見ながら聴きたい。それが平成初期生まれのリスニング・スタイルだからね。
なので週末に久しぶりに新調した。やっと重い腰を上げて買った。
僕はオーディオ・マニアではないので(こだわりすぎてる人はもはや聴力検査や”音質鑑賞”みたいになってることあるよね)、ちょっと奮発しよう!ぐらいの金額で購入。これが前のと同じぐらい持つとしたら、1年あたり5,000円ってところか。1日あたり13円。これは安い。
新しいオーディオは僕の日々の拠点であるベッド・ルームのデスクに設置するとして、追い出された旧オーディオはリビング・ルームかCD部屋に移設しようか…などと思案しているうちに日曜の夜も更け、新オーディオを試さないまま週末が終わった。
そして今日は元々休みをもらっていたので、朝からCD聴いています。
スピーカーは半分ぐらいの大きさなのに、出力も音質も大幅に良くなっている(気がする)。ラジオも受信できて満足。余計な機能も無く、ただひたすら”聴く”ことに殉じるための装置として、非常にありがたい。
あとは移設による後片づけが残っている。年末の大掃除のスタートと思って少しずつ取りかかろう。