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Washd Out / Within and Without (2011)

チルウェイヴ全盛の2011年、その”真打”による待望のデビュー・アルバム。

ウォッシュト・アウトことアーネスト・グリーン自身の影響源であるアニマル・コレクティヴやディアハンターらを手掛けたベン・アレンをプロデューサーに迎えた本作は、チルウェイヴの起源たる傑作EP”Life of Leisure ”での親密なベッドルーム・ポップや揺蕩うドリーム・ポップ、アコースティックでオーガニックなサウンドが、より洗練され整理されたものとなっている。

根底ではベースやパーカッションの低音を重視しつつ、サイケやシューゲイザーの香りも漂い、何よりもポップ・ミュージックとしてのメロディの強度と明度も高い傑作で、まさにチルウェイヴの決定打といえる。

クロージング・ナンバーの”A Dedication”からは、同じ2011年アルバム・デビューのジェイムス・ブレイクと並ぶ新世代のシンガー・ソングライターとしてのウォッシュト・アウトの才能も垣間見える。





本作については、ele-kingのアルバム・レビューがとても的確で素晴らしく、それを読めばこの駄文など不要だと思うけど、とにかくこのアルバムは”積極的な現実逃避”と言わんばかりのエスケーピズムの極致で、現実とは離れたところでふわふわと揺蕩い、自らの来し方行く末(≒運命)をポジティヴに(←ここ大事)見つめる姿勢が伝わってくる。
音に浸るだけでも最高だし、その中身に触れるのもまた良し。




昨日までの3日間、夏休みの残り半分を使い、湖畔にてエスケーピズムの極致たる時間を過ごした(つまり、ただ単に休暇を取ってちょっとした旅行に行ってきた)。

現実の日常を生きるための、現実逃避による非日常。
日常を生きていくための手段としての現実逃避なのか、あるいは現実逃避を楽しむことを目的に日常を生きているのか。

朝から大量の洗濯物を干し、土産用のご当地ビールを空け、心も身体もふわふわしたまま、帰宅後の曖昧な緩衝材的休日を過ごす。







明日には戻ってくる日常がいかなるものであろうとも、自分の人生の手綱は自分で引いていくのさ。

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