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('10) Toro y Moi / Causers of This
トロ・イ・モアことチャズ・バンディックのファースト・アルバム。2010年にリリースされ、ウォッシュト・アウトらとともにチルウェイヴを代表するアーティストとして名を上げた本作は、酩酊感を誘うグルーヴと幻想的で多幸感のあるリヴァーブ、白昼夢的な朧げなヴォーカルなど、まさにチルウェイヴを体現している。
どっしりとした心地良いメロディをベースにした地に足の着いたソングライティングと現実的で世俗的な詞作なのだが、楽曲全体を揺るがせ浮遊させるサウンド・アレンジによって、現実と相対した”ここではないどこか”を求めて彷徨うような雰囲気が漂う。このエレクトロ・ポップとサイケデリアの融合は時代の音として求められていたのだろう。
4日目。休みが続いて鈍る感覚と、連日外を歩いた疲れが全身に纏わりついている。
トロ・イ・モアはウォッシュト・アウトに比べるとソウル/ファンク寄りのサウンドで、ウォッシュト・アウトほどの頻度ではないがこちらも好きで聴いている。暑い夏の午後に、ぼーっとしながらゆったりトリップ感覚を味わえる。いわばほろ酔い感覚。
一人で緩く自由に作り、表現を広げていっている感じがする。そしてどのアルバムもハズレがなく安定している。
今日は朝から数年ぶりに近所の動物園に行って、ソルティ・ライチを片手に一人、ゾウやらチンパンジーやらシロクマやらを見て回った。前行ったときに気に入ったアザラシは死んでしまったし、ライオンの檻の裏でひっそりと恨めしそうにうろついていたハイエナはどこかへ行ってしまった。
そして僕は変わらず同じような生活を続けている。
ペンギン数羽が立ちつくして動きのない檻の前から家族連れが早々に去っていくのを尻目に、僕は何を考えるでもなく、彼らが羽を休めたり毛づくろいしたり空を見上げたりするのをだらだらと見ていた。
ダチョウの餌を狙うカラスの羽ばたく音や、一心不乱に穴を掘り続ける日陰のアナグマ、そういったものが空っぽの頭の中に新鮮な感覚を与える。
陽射しを浴び続けたからか、急にシャワーを浴びてベッドで眠りたくなった僕は、録音しておいた日曜サンデーを聴きながら森の中の木製の遊歩道を歩き、尻すぼみに帰途に就く。ただそれだけの休日。