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LCD Soundsystem / LCD Soundsystem (2005)
2000年代前半のニューヨークにおける”ダンス・パンク”隆盛の火付け役となったレーベル、DFAレコーズの主宰者ジェームス・マーフィーが、自らのソロ・ユニット「LCDサウンドシステム」としてリリースしたセルフ・タイトルのデビュー・アルバム。
新録9曲の1枚目、既発シングル曲を集めた2枚目の2枚組で構成される本作は、ディスコ・ミュージックとパンク・ロックを融合し、ダンス・ミュージックとロックとを再び結びつける’00年代の重要作となった。
ダフト・パンクへのリスペクトを込めたハウス(1曲目から「ダフト・パンクが俺の家でプレイしてる」なんてナメたタイトルで最高)、キレの良いディスコ、硬質なポスト・パンク、鋭いニュー・ウェイヴ、乾いた音が反復するクラウトロック、コシの強いファンク、酩酊するサイケなどをごった煮にして、エッジ鋭く知性的に洗練させたジェームスの手腕は特筆に値する。
前述のダフト・パンク以外にも、ビートルズ、ルー・リード、ボウイ、イーノ、ニュー・オーダー、カンなど、先達への深い愛情と造詣を持つ彼の音楽フリークぶりが全編を通じて感じられるところも非常に好感。
(ほぼ)全ての作詞作曲、演奏を自ら手掛け、自身のルーツとキャリアと現在地と行く末とを一挙にまとめた入魂の傑作。
長らく裏方として制作に携わり、エッジのある企画力とモノづくりでシーンにおける人気の火付け役となった大柄の男が、気づけば自ら表舞台にも立ち、そのクセになる語り口とタフな姿勢でやがて堂々とメインを張る・・・。
と書くとなんだか佐久間さんみたいだね、ジェームス・マーフィー。
LCDは学生時代に初めて聴いた時はピンとこなかったのが正直なところだけど、僕もそれから10年以上音楽を聴き続けた結果、あらためて聴くと本作の音楽愛に満ち溢れて中毒性もあるサウンドが堪らなくクセになる。控えめに言って最高。
リリース当時のジェームスは35歳直前で、今の僕と同じぐらいの歳だったのか。
彼の才能も体験してきた音楽の質も量も物凄いのは言うまでもないけど、深い音楽愛と圧倒的な知識と底知れぬ熱量が30代半ばにして爆発した結果、新たなモノを生み出しているのが単純にカッコいいなと。
最初の3作はもちろん、大復活を遂げた栄光の「アメリカン・ドリーム」もホントにカッコよかった。