見出し画像

Toro y Moi / Underneath the Pine (2011)

チルウェイヴの先駆者であるチャズ・バンディックによるソロ・ユニット、トロ・イ・モアのセカンド・アルバム。

70年代ソウル/ファンク/ディスコや映画音楽にインスパイアされたという本作は、前作でのサンプリング・メインのエレクトロ路線・ビート重視から、全編生音によるバンド・サウンド風へと変化。

メロウでドリーミーなサイケとシンセ・ポップ、ノスタルジックでレトロなソウル、自然に体を揺らすファンク・グルーヴは絶品で、彼の音楽性への評価を決定づけた傑作。

パイオニアであるトロ・イ・モア、ウォッシュト・アウト、ネオン・インディアンの”御三家”揃い踏みの2011年は、2009年に生まれた新ジャンル、チルウェイヴ3年目にして最大の当たり年となった。




チルウェイヴなる音楽は、僕のようなベッドルームの住民には当然しっくりくるものであり、ブームが過ぎ去っても、休日などにはしばしば聴きたくなるもので。

その中でもトロ・イ・モアは70〜80年代のクラシックなソウルやポップスからの影響が色濃く反映されたノスタルジックなサウンドが実に味わい深いアーティスト。

チルウェイヴの初期の頃、ウォッシュト・アウトはナイーヴな感性で、ネオン・インディアンは尖った感性でインディとしての矜持を保っている印象だった中で、トロ・イ・モアは天然な雰囲気のまま、愛着のあるポップスへと臆せずアプローチしていた。

それは2010年代において、ダフト・パンクの名盤「RAM」などで顕著になる”懐かしきあの時代”へのストレートなリスペクトや愛情表現とも(無意識ながら)繋がっている気がする。

ジャケの髭と唇と花(果実?)は、妖艶さ・グロテスクさ・生々しさを呼び起こす。

いいなと思ったら応援しよう!