The Impressions / Keep On Pushing (1964)
公民権運動が盛んだった当時の時代背景と共鳴したようなタイトル・トラックで幕を開けるジ・インプレッションズのヒット・アルバムは、カーティス・メイフィールド時代の3作目。
伝承歌をマーチとして鳴らしたB面1曲目を除く11曲全てを手掛けたカーティス・メイフィールドのソングライティングには更に磨きがかかり、ヴォーカルにもゴスペルやロカビリーの影響を感じさせる深みやふくよかさ、艶やかさが増している。
フレッド・キャッシュとサム・グッデンとの3人のコーラスも厚みと奥行きをどんどん増していき、ゴスペルとしての包容力や慈悲深さをも湛えている。
陽気な曲もゆったりした曲も含みながら、ここで社会性を帯び始めた彼らの音楽は、次作で最初の到達点を刻むことになる。
真っ赤な車をキープ・オン・プッシングしながら朗らかにこちらを見る3人の姿が印象的なジ・インプレッションズのサード・アルバム。
心地良いソウルに深みのあるゴスペルが重なる、美しく楽しいレコード。
温かみもあるけど、一貫してスタイリッシュさがあるのがカーティス・メイフィールドらしさだ。