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Kings Of Leon / Aha Shake Heartbreak (2004)
ファースト・アルバムが主に英国でヒットし、それに伴う長いツアーから帰還したキングス・オブ・レオンが、引き続きイーサン・ジョンズをプロデューサーに迎えて取り組んだ2作目は、彼らの1年間の進化を刻んだ成長の1枚となった。
アメリカ南部出身らしい泥臭くワイルドな魅力は健在だが、そこにニュー・ウェイヴや同時代のストロークスら”クールな尖り”が端的な形で加わり、2000年代の”リヴァイヴァリスト”達に名を連ねるような洗練されたエッジがみられる。
ケイレヴ・フォロウィルのアクの強いヴォーカルも表現力と存在感を増しており、"Milk"や"Day Old Blues"といったメランコリックなブルースも良い味を出している。
素人同然で地元を回っていたところから急にツアーに出た中での経験を生々しく綴った詞からはジャケットが象徴するような官能的な雰囲気や倦怠感が漂い、長旅の疲労とフラストレーションと創作意欲をアルバム制作にぶつけた本作は、再び音楽を作れる喜びに満ちた理想的なセカンド・アルバムとなっている。
キングス・オブ・レオンは"Use Somebody"がヒットしてラジオで頻繁にかかっていたことで知って、その後ブックオフで最初に手に入れたのがこの2作目だった気がする。
アクの強いヴォーカルと泥臭い音楽性…というのはあくまで当初のイメージで、今こうして聴いてみると、ギターの感じはかなりストロークスに近いし、たまにリバティーンズっぽさすらあって、インディのギター・バンド然としている。もちろんKOLらしいコシの強い音もあるけれど。
南部音楽に根差した土の香りのするロックを鳴らして注目を集めた彼らが、ツアーを回る中で世界のロックの潮流を肌で感じた結果、無意識のうちに手に入れたのがこのインディ・ロック感なのかも。
バンドの独自性、制作の背景、同時代性が音に表れている良いアルバムだなと。