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The Beach Boys / Shut Down Volume 2 (1964)
ザ・ビーチ・ボーイズ名義のディスコグラフィとしては唐突な「ヴォリューム2」が付いた奇妙なタイトル、コメディ・タッチの会話を含む風変わりな曲も入った5作目のアルバム。
しかし、遊びの企画ものではなく、ブリティッシュ・インヴェイジョンが始まった当初のアメリカにおいて、メイン・ソングライターであるブライアン・ウィルソンが憧れのフィル・スペクターへの敬愛を込めてウォール・オブ・サウンドに接近した意味では重要なレコードとなっている。
ホット・ロッド〜サーフ・ロックの範疇を超え、美しいコーラス・ワークに重心を移しつつある時期だけに、時折溜め息が漏れるぐらいに美しいメロディとハーモニーが現れる。
1〜2曲目に"Fun, Fun, Fun"と"Don't Worry Baby"という屈指の名曲を配置し、さらには気怠くも美しく夏らしい"The Warmth Of The Sun"や"Keep An Eye On Summer"もあって、これだけでも買いの1枚だと思う。
こんな陽射しの厳しい暑い日には・・・そうだね、ビーチ・ボーイズだね。
反町の方じゃないよ。そしてアメリカ保守ミュージックの代表としてのBB5でもないよ。
僕はあくまでブライアン・ウィルソン一択です。上で特筆した曲もブライアン作&リード・ヴォーカル(1曲目だけマイク・ラヴ)です。
つまりは、ブライアンの生み出す極上のメロディとハーモニーなのだね。
僕が持っているのは廉価版「 2 in 1 CD」で、前作にあたる「サーファー・ガール」とこの「シャット・ダウン2」の2作がそれぞれのボーナス・トラックと併せて収録されていて、数年前出張で行った函館で港を歩きながらこれを繰り返し聴いていたことを今でも鮮明に思い出す。
快晴の下、海を見ながらビールを飲む、人生最高の瞬間。こういう瞬間の積み重ねこそが幸せな人生ということなのでしょう。
夏ですね。
7月を目前に、洗濯物を干そうとベランダに出たときの陽射しの強さに圧倒されつつ、本格的な夏の訪れに胸が高鳴る。結局週末で3回も洗濯しちゃった。
明らかに10〜20代の頃よりも夏が好きになっている自分がいる。夏に限らずどの季節もだけど(雪に閉ざされる冬は除く…)。それはたぶん「いつも訪れるけれど必ずいずれ終わりが来るもの」への郷愁に近い愛着なのだろう。自分の残りの人生というものも意識し始めているのかもしれない。
ここ何年も夏が来るたびにザ・ビーチ・ボーイズを聴いて過ごすのだけど、そして毎回同じように炎天下を散歩し、ビールを飲み、海を見に行くのだけど(おまけに「風の歌を聴け」を読んだりね)、その毎年の繰り返しがたまらなく心地良い。その全てが自分一人でできるってところも気に入っている。
日常への不満も憂鬱も、暑い夏をだらだらと小市民的に楽しめるのであれば乗り切れるかもね。
今年も目一杯休みながら夏を過ごしたい。