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The Impressions / The Impressions (1963)

オリジナル・メンバーによるインプレッションズから、大黒柱のジェリー・バトラー(その後ソロとして大成)が脱退後、カーティス・メイフィールドを中心に3人体制となってから初めての作品。

シンガー/ソングライターとして台頭したカーティスが12曲中9曲を書いた本作は、ヒット曲①②を中心にB面曲などを集めた編集盤に近いものだが、カーティス擁するインプレッションズの音楽性が確立されている。

ビートルズがデビューした1963年に、これだけポップに洗練されたソウルを聴かせているのが凄い。ソウル・シンガーにしては細めの声のカーティスだが、その分繊細さと哀愁を含んでいて真に迫るし、何より聴いていて心地良い。

ロック側から聴いても充分に聴き応えのあるレコードで、3人の鮮明なコーラスも含め、ウェイラーズら後世にも多大な影響をもたらした。




6月。雨の季節。
各地で猛威を振るう雨は、僕の住む地域までは来ていない。今のところは。

早くに目覚めた土曜日の朝。熱いシャワーを浴び、部屋で空腹にコーヒーを流し込みながら、インプレッションズを聴く。実に村上春樹的ではないか。実に恥ずかしい。

スモーキーで温かみのあるソウル・ミュージックが、曇天の湿った窓の内側に充満していく。

僕はソウルでいうと、オーティス・レディングとカーティス・メイフィールドが特に好きだ。
喜怒哀楽をおそらく同じくらいの割合で、同じくらいの強度で含んでいるであろう、その声の質感には、いつまでも浸っていたいものがある。

カーティス時代のインプレッションズは、63年時点ですでにポップスとしての魅力も大きく、キャリアは違えど同年デビューのビートルズに匹敵すると思う。


オーティスのときにも書いたけど、年々こういう音楽がじんわりと沁みるようになってきた。
甘いメロディから漂う哀愁、声の響きや楽器の音の広がり、そしてスモーキーとしか言いようのない、紫煙くゆらす雰囲気。
音楽こそ至高。そう思える。

時間に追われ、追いつかれ、追い抜かれ、追いかけるような日常に、ふと足を止める瞬間を与えてくれる。

ちょっと感傷的に過ぎるか。

載せた写真に肝心のカーティスがいない…。

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