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The Wailers / Burnin' (1973)
前作がレゲエを(そしてジャマイカという国をも)世界中に知らしめるきっかけとなり、それをフォローするために半年後にリリースされたアイランド・レーベルからの2作目。
ボブ・マーリー、ピーター・トッシュ、バニー・ウェイラーの”オリジナル”・ウェイラーズにバレット兄弟による強力なリズム・セクション、キーボードで参加のアール・リンドという最強布陣での臨んだ最後のアルバムで、本作の後に創設メンバーのトッシュとウェイラーが脱退する。
本作はマーリーの象徴的なヴォーカルを核とした3人のコーラスの素晴らしさを前面に出し、彼らの代表曲にしてレゲエにおいてもレベル・ソングにおいても不朽の名曲”Get Up, Stand Up”や"I Shot the Sheriff"など、マーリーによる攻撃的で社会的なメッセージの強い楽曲と、トッシュやウェイラーが主体の平和や愛を祈る穏やかでしなやかな楽曲が共存。厳しく力強くスピリチュアルでピースフルな、レゲエの真髄が詰まった傑作となっている。
ジョン・レノンにも通ずるラヴ&ピースへの渇望と現実との間に残る葛藤、そして数年後に勃発するパンクの反抗と不屈の反骨精神が、豊穣なリズムに、鮮やかなメロディにたしかに息づいている。
レゲエがジャマイカから世界へと飛び立った1973年の2作目となる本作は、日本盤では「ボブ・マーリー&」が付いているが、実際にはザ・ウェイラーズ名義。同時にバンド体制では最後のアルバムとなり、盟友の2人が抜けた次作から以降はボブ・マーリー個人の趣向とアーティスト性が強くなっていく。
楽曲単位でのポピュラー音楽としての強度もヴァラエティもあり、歌も演奏もこれ以上ない仕上がりで、まとまりもあって本当に良いアルバムだと思う。
CDに収録のボーナス・トラックも文句なし。