('92) Manic Street Preachers / Generation Terrorists
英国の国民的バンドとなったマニックスのデビュー作。「30曲2枚組のデビュー・アルバムを世界中でNo.1ヒットにして解散する」という大言壮語な宣言の下にリリースされた本作はしかし、肝心の中身が意外にも保守的で時代錯誤なもので、結局全英チャート13位に終わり、解散も撤回、彼らは批判、非難を浴びることになった。
たしかに、出たての頃のアート・パンク感にピストルズやクラッシュを期待したリスナーにとっては、本作のガンズ感ばりばりのハード・ロックは受け付けられないものだったろう。今聴いても長尺なこともあって疲れてしまう。しかし、アート感は薄められつつも彼らが影響を受けたであろう、パンクやグラム・ロック、ハード・ロックをぶつけ合い、ヒップホップやバラードも取り入れ、後のキャリアの礎を築いた印象もある。
リッチー・エドワーズ&ニッキー・ワイアーによる文学性と政治的主張を前面に押し出した作詞組と、ジェームス・ディーン・ブラッドフィールド&ショーン・ムーアによるスケール感のあるメロディが光る作曲組の掛け合いが生み出すアンセムになりえる楽曲は、2年後のオアシスを先取りしたようでもあり、特に曲単位では耳を引くものがある。
時代遅れだろうがダサかろうが、自らのスタイルを貫く、それこそパンク的な姿勢は実直で真摯。失いながらも進んでいく彼らの強さの原点。
いやしかし長くて音が厚くて疲れるアルバムだ。30周年の今、20周年デラックス版を聴いているんだけど、1枚目の途中で既にお腹空いていない時に大盛りの天丼を出されたくらいの胃もたれ感、うんざり感がしてくる。たしかに曲単位ではエビとかキスとか舞茸くらい美味しくて良いんだけど、これだけいっぱい盛られちゃうと胃に収まりきらない。そして今日もまた、1枚のアルバムとして消化しきれないまま、聴き終えていくのです。