Animal Collective / Here Comes the Indian (2003)
エイヴィー・テア、パンダ・ベア、ディーケンに加えてジオロジストも参加し、4人体制のアニマル・コレクティヴとしては1作目、プロジェクト全体としては4作目となるアルバムで、エイヴィー・テアの設立したレーベルからの第1弾作品。
アートワークの雰囲気そのままのフォークとサイケに加え、エレクトロ・サウンドやノイズが入り混じった本作は、混沌の中に不思議と温かみとポップさが宿り、アニマル・コレクティヴらしい音像が広がる。
激しいパーカッションによる強めのビートも印象的な”エクスペリメンタル・サイケ・ノイズ・ポップ・アルバム”。
この夏はアニマル・コレクティヴ関連を多く取り上げがち。
’00年代USインディ・シーンを牽引する”ブルックリン勢”の筆頭である彼らは、都会的な自由な作風で、好き放題に音楽的実験/探求を続けているわけだが、その中心にはポップさと適度な抜け感、土着的な祝祭感がある。
この風通しの良さと潜在的なオプティミズムが、彼らの音楽を自閉的な趣味性に留まらず、より開けたポップ・ミュージックへと接続しているのだろう。
次作以降、インディ界隈からはみ出すような傑作を連発し、その祝祭も大盛り上がりとなるが、本作まではいわばその準備段階であり、前夜祭ともいえるかもしれない。
4人のアイディアを4人のコラボレーションによってポップ・アルバムへと着実に昇華させる経過を捉えた作品群の成果が、次作以降の本格開花へと繋がっていく。