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Bob Dylan / Another Side of Bob Dylan (1964)

1964年6月9日に一晩で一気にレコーディングされたボブ・ディランの4枚目のスタジオ・アルバムは、タイトルどおりディランの"もう一つの側面"を示すとともに、次作以降のフォーク・ロック路線との「境界線」に位置する、地味ながらも重要な1枚。

1stのブルーズ、2nd〜3rdのフォークやプロテスト・ソングから、よりパーソナルに自身の内面を綴ったであろう抽象的で比喩的な詞を用いて、ロックを内包したフォーク・サウンドへの変化の兆しが見られる(現にザ・バーズは本作から複数のカヴァーをするなど大きな影響を受けている)。

初めてピアノを用いた"Black Crow Blues"、まっすぐな歌唱を聴かせる"Chimes of Freedom"、詞もメロディも味わい深い"My Back Pages"、ポップな手触りの"I Don't Believe You"、そして後世まで歌い継がれる名曲"It Ain’t Me Babe"など粒揃いの楽曲が、ラフながら1日で完成させたことによる勢いと実直さを感じさせる。

アコースティック・ギターとハーモニカと歌声だけで表現できることをやり尽くした感のあるディランは、時代の代弁者に仕立て上げられることとも決別し、ロックへと接近していくことになる。





メロディにおいても詞においても、ディランのソングライティングの深化を窺わせる隠れた傑作。
一筆書きのような曲もディランらしいが、口ずさみたくなるような曲も増え、キャッチーとすら呼べそうなほど。
そして"It Ain’t Me Babe"。堪らないね。




昨日から夏休みに入ったものの、右手の負傷でまさかの静養中…。
それでも意地でも昼ビアガーデンには行ってやるのさ。

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